約 4,410,099 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2656.html
魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ クロス元:戦国BASARA ※完結 最終更新 08/01/01 プロローグ 第一話「忠勝、ミットチルダにて起動」 第二話「忠勝と機動六課」 第三話「忠勝、訓練をする。」 第四話「忠勝と予言、そして鬼」 第五話「聖夜の夜、そして風魔」 第六話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(前編)」 第七話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(後編)」 第八話「戦国最強がいなくなった世界/戦国最強が戻ってきた世界」 第九話「立ち上がった白銀の城」 第十話「龍と雷光」 第十一話「天覇絶槍」 第十二話「starlight and steel」 第十三話「第六天魔王VS究極戦国最強」 最終話「それから」 魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER クロス元:モンスターハンター 最終更新:08/03/03 第一話「狩人」 第二話「再会」 第三話「異変」 第四話「赤鳥」 第五話「水竜」 第六話「過去」 第七話「風翔龍」 第八話「休暇」 第九話「対面」 第十話「鎧竜」 第十一話「新生」 第十二話「白影竜」 第十三話「黒龍伝説」 第十四話「挑戦」 第十五話「轟」 第十六話「危機」 拍手感想レス :島津出るかなと期待したがでなかったので残念 個人の好みもあるから仕方ないけど :ドクターが凄く格好いい TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/92.html
仮面ライダーリリカル龍騎 クロス元:仮面ライダー龍騎 序章『TIMEVENT』 第一話『戦の始まり』 第二話『仮面ライダー』 第三話『新たな力』 第四話『龍の再誕』 第五話『龍騎』 第六話『蛇と蟹』 第七話『夜の騎士』 第八話『激闘』 第九話『ライダー交代』 第十話『香川研究室』 第十一話『完全復活』 第十二話『プレシア・テスタロッサ』 第十三話『集結』前編 第十三話『集結』後編 第十四話『砕け散る鎧』 第十五話『再起の時』 第十六話『白き翼・ファム』 第十七話『回転VS回転』 第十八話『真司の冤罪』 第十九話『病院の怪』 第二十話『現れる戦神』前編 第二十話『現れる戦神』後編 第二十一話『星と虎の邂逅』 第二十二話『蘇る雷』 第二十三話『疾風』 第二十四話『風、雷、そして力』 NANOSING クロス元:HELLSING 最終更新:08/03/30 第一話『VAMPIRE』 第二話『MURDER CLUB』 第三話『ANGEL DUST』(1) 第三話『ANGEL DUST』(2) 第三話『ANGEL DUST』(3) 第四話『DEAD ZONE』(1) 第四話『DEAD ZONE』(2) 第四話『DEAD ZONE』(3) 第四話『DEAD ZONE』(4) 第五話『BALANCE OF POWER』(1) 第五話『BALANCE OF POWER』(2) 第五話『BALANCE OF POWER』(3) 第六話『ELEVATOR ACTION』(1) 第六話『ELEVATOR ACTION』(2) 第六話『ELEVATOR ACTION』(3) 第六話『ELEVATOR ACTION』(4) 第六話『ELEVATOR ACTION』(5) 第六話『ELEVATOR ACTION』(6) 幕間『CROSS FIRE』 第七話『AGE OF EMPIRE』(1) 第七話『AGE OF EMPIRE』(2) 第八話『CALL TO POWER』 第九話『ULTIMA ON LINE』 魔法少女リリカルマジンガーK s クロス元:マジンカイザー、UFOロボ グレンダイザー 最終更新:09/07/14 第一話『魔神再臨』 第二話『激突! 雷光VS魔神』 第三話『魔神と魔法』 第四話『お引っ越し、そしてグレンダイザー復活』 第五話『新たなる力、起動!』 第六話『機械獣襲来!』 魔法少女リリカルなのは ―Minstrel Song― クロス元:ロマンシングサガ ミンストレルソング 最終更新:08/02/16 Event No.00『最終試練』 Event No.01『ミッド臨海空港』 Event No.02『高町なのは』 拍手感想レス :NANOSING楽しみです!!アーカードに期待大です!! :十七話の蟹が飛ぶな!!!に吹いた。電王ネタ満載の龍騎の更新がんばってください TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/opedarchive/pages/49.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS OP『SECRET AMBITION』 歌:水樹奈々 作詞:水樹奈々 作曲:志倉千代丸 編曲:藤間仁(Elements Garden) ED『星空のSpica』 歌:田村ゆかり 作詞:椎名可憐 作曲:太田雅友 編曲:太田雅友 ページ参照回数 -
https://w.atwiki.jp/stsk13/pages/23.html
Tear the dark night If story~in Autumn~ happy birthday to you~in Autumn~ Naoshi's melancholy~in Autumn~ Work at night~in Autumn~ Tear the dark night (Starry☆Sky~in Autumn~Portable 初回限定版) 01.Memories album of season~in Autumn~ 02.Message to you~Iku Mizushima~ 03.Message to you~Naoshi Haruki~ 04.Message to you~Kotarou Hoshizuki~ 05.celestial observation~in Autumn~ If story~in Autumn~ (Starry☆Sky~in Autumn~Portable アニメイト特典) happy birthday to you~in Autumn~ (Starry☆Sky~in Autumn~Portable メッセサンオー特典) Naoshi's melancholy~in Autumn~ (Starry☆Sky~in Autumn~Portable コミコミスタジオ特典) Work at night~in Autumn~ (Starry☆Sky~in Autumn~Portable ソフマップ特典)
https://w.atwiki.jp/tetsuyakai/pages/42.html
【PROFILE】 2000年12月に「想い」でソロデビュー。 2010年1月に発売したシングル「PHANTOM MINDS」がオリコンチャート第1位を記録するなど、 これまで数々のヒット曲を輩出してきた。 圧倒的な歌唱力と卓越したパフォーマンスには定評があり、 西武ドームに3万人を動員するなど、巨大会場で数々の単独LIVEを成功させている。 2009年末にはNHK紅白歌合戦に初出場を果たし多くのメディアが注目。 数々の人気アニメに出演し、ナレーターとしても活躍する声優界のトップランナー。 【予備知識】 テーマ色:青 実際はUOが圧倒的。バラードでは青推奨 去年のアニサマが終わってから、現在(3/7)までにすでにシングルを3枚もリリースしている。 さらにはアニメタイアップではない曲も積極的に歌いにくる可能性もある。予想が非常に難しい。 ただし今年はタイアップ曲の弾数が多く、去年よりは歌われる曲が絞れそう。 傾向として、過去5回すべての〆を担当 現在の2日目のアーから考えて、トリの可能性大。3-4曲だろう。 またトップバッターも過去4回務めているため、開幕UOの準備が必要。 出場回数:6回目 2005年 01.TRANSMIGRATION/奥井雅美のコラボ 作詞:奥井雅美 34.Still in the groove 「いろメロミックス」CMソング 35.Take a shot 『魔法少女リリカルなのは』挿入歌 36.WILD EYES 『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』ED1 〆 2006年 34.SUPER GENERATION 『やぐちひとり』ED 35.innocent starter 『魔法少女リリカルなのは』OP 36.ヒメムラサキ 『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』ED2 37.ETERNAL BLAZE 『魔法少女リリカルなのはA's』OP 〆 2007年 01.輪舞-revolution/奥井雅美とコラボ 『少女革命ウテナ』OP 09.聖少女領域/宝野アリカとコラボ 『ローゼンメイデントロイメント』OP 34.Justice to Believe 『WILD ARMS the Vth Vanguard』主題歌 35.SECRET AMBITION 『魔法少女リリカルなのはStrikerS』OP1 36.Heart-shaped chant 『シャイニング・ウィンド』OP 〆 2008年 01.恋せよ女の子アノネ+まみむめ☆もがちょ/田村ゆかりとコラボ 36.残光のガイア 『セレクションX』ED 37.Dancing in the velvet moon 『ロザリオとバンパイア』ED 38.Pray 『魔法少女リリカルなのはStrikerS』挿入歌 39.ETERNAL BLAZE/宝野アリカとコラボ 『魔法少女リリカルなのはA's』OP 〆 2009年 01.DISCOTHEQUE MonStAR/平野綾とコラボ 40.Gimmick Game 『カード学園』OP 41.深愛/Suaraとコラボ 『WHITE ALBUM』OP 42.悦楽カメリア 『笑撃! ワンフレーズ』5月・6月度ED 43.Orchestral Fantasia 『音楽戦士 MUSIC FIGHTER』11月度 〆 【予想曲】 PHANTOM MINDS 信頼度 98% 2010年1月31日 発売 劇場版『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』主題歌 歌詞 日本テレビ系列『音楽戦士 MUSIC FIGHTER』2010年1月度パワープレイ 【一言メモ】 映画主題歌ほどインパクトのある曲は少ない。 現時点での最有力候補 UO推奨。というより必須 Silent Bible 信頼度 30% 魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE OP 【一言メモ】 さすがに「なのは」ばっかりは来ない?
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2876.html
「午前中に東京都お台場で行われていた、ウェイン産業の一周年パーティーにて、複数の男が乱入。 ウェイン産業関係者、政府関係者、金融関係者などを拉致し、逃走を図りました。 現場に巻き込まれた人の話では、乱入した男の1人が、ゴッサムシティの犯罪者である『ジョーカー』と名乗っていたということもあり、 警視庁は一刻も早くの拉致された方の救出、犯人逮捕を行うと……」 「今回の事件に対して、首相は、日本政府への挑戦であり、 警視庁、警察庁に対して直ちに対応し、犯人の逮捕に努めて欲しいと厳命したことを記者に発表しました。 また今回の拉致事件の被害者で、パーティーに列席していた金融副大臣、与党の中堅議員、野党の議員などもおり、身の心配が案じられます」 「ウェイン産業のパーティーの防犯カメラからの映像を、 アメリカ政府を通じてゴッサムシティに送ったところ、 犯人はゴッサムシティで殺人、放火、誘拐などの罪で指名手配を受けている通称『ジョーカー』であることが判明しました」 「通称『ジョーカー』は、その姿をトランプのジョーカーのように顔を白く化粧していること、 また犯罪現場にトランプのジョーカーを置くことからその名前がつけられました。 『ジョーカー』はゴッサムシティの犯罪者の中において、 もっとも凶悪といわれており、刑務所からの脱獄も三回にのぼるとして、その危険性による、人質への安否が懸念されます」 「ウェイン産業のブルース・ウェイン氏は、人質の解放のために全力を尽くすとして、 警視庁に協力を約束し、積極的に捜査に協力すると発表しました」 第2話 裏 高町なのはと、フェイト・T・ハラオウンは、警察と救急車でごった返す、ウェイン産業の敷地を離れ、人が少ない海辺に来ていた。 潮の香りを感じながら、二人の気持ちとは裏腹に、海は穏やかで、青い空の中、陽が傾き始めていた。 暫く、何も言葉に出来ない二人。 自分のせいでヴィヴィオは連れ去られた…。なのはも、フェイトも自分を責める。 「…なのは、探そう?ヴィヴィオはまだ、近くにいる」 「うん……」 今は悩んでも何にもならない。今自分ができることを考えないと…。 そう、ヴィヴィオを探して取り返す。それが今の私たちができる唯一のことだから。 絶対に…。 「だけど…どうやって?探そうにも手がかりまったくないよ」 フェイトは何も出来ない自分の無力さに怒りが湧く。 ここでは自分の力も遠く及ばない。執務官という肩書きだって、ここでは使うことが出来ない。 世界がかわるだけで、ここまで無力な存在になるなんて。 「大丈夫。私たちには、これがあるよ」 なのはは、そんなフェイトの心配を他所に笑顔を向ける。 なのはは、こうやっていつも心配や不安に陥るフェイトを無意識に助けている。 そのことがフェイトにとって、なのはに対する強い想いを持たせ続ける原動力となっているのだ。 なのはがそういって、取り出したのは携帯電話…。 ヴィヴィオはうずくまりながら、見つめていた。 トラックに揺られ下にさがっていくことを感じながら、車が止まった場所は、広いコンクリートに囲まれた空間だった。 トラックの後ろの扉が開かれ、ピエロの仮面をした男たちが銃を持ち、下りるよう指示する。 前にいるのは、自分たちを攫ったピエロの大ボス。 「君が、ジョーカーか…、私たちにこんなことをしてどうするつもりだ」 1人のスーツを着た人が、前に出てそのピエロの大ボスにいう。 ビエロの大ボスは口の周りの赤いペイントから常に笑っているように見える。 「君は?」 「私は日本国の野党の国会議員だ。君たちの要求を言ってみろ。人命を優先し解放するのなら、私が直接交渉に当たる。なんだ、金か?権力か?」 「フフフ……フハハハハハハハハハハ」 高らかな笑いが、そのコンクリートに囲まれた場所で響き渡る。 ピエロの大ボスがその人の襟首を掴み、顔を近づける。 「金?権力?そんなものに興味はない。俺はただ楽しめれば良い。みんなハッピーに笑顔をみせてもらえれば、一番だ」 「バカな。犯罪をすることが目的だとでも言うのか?」 ピエロの大ボスは、その議員から手を離して、距離をとり、全員が見えるよう、車の上に立つ。 「皆さん、改めて…始めまして。皆さんは私を知っていますが、私は皆さんのことを余り知らない。 一方的な新聞やテレビでしか知らず、まるでアニメやドラマ、映画の世界のような好奇な目で見ている………俺はそれが我慢できない!!」 最後の言葉に強い感情がこめられている。 ヴィヴィオは、怯えながら、そのビエロの大ボスを見る。 「俺は笑うことは好きだが、笑われることは大嫌いだ。だから、第三者を気取るお前たちにも同じように笑ってもらうことにした。 それがジョーカー劇場の目的だ!!君たちには道化師として、踊ってもらおう。フハハハハハハハハ~」 恐怖に怯えるものたち、そんなものたちを見ながら、ビエロの大ボスは笑い続ける。大人たちは、悲鳴を上げながら逃げ出そうとする。 だが、それは銃口を持ったものたちによって阻まれ、そして、別のトラックの中にと再び詰め込まれていく。 ヴィヴィオも大人たちの狭間に紛れながら、流れていく。 そんなヴィヴィオのポケットの中、携帯電話が点滅して光っている。 トラックが出発したとき、何かの影が駐車場で揺れ動いた。 「わああぁ!?」 悲鳴とともにピエロ仮面の誰かが消えた。 車に乗り込もうとしていたジョーカーは、その悲鳴にあたりを見回す。 下水道工事のための地下駐車場…。 こんなところに、警察がいるはずがない。 「うわぁぁ!!」 「ぐぅぅ!!」 再び消える声に、ピエロ仮面たちが銃を向け、あたりかまわずに撃ちまくる。 だが、そのピエロ仮面の上から現れた巨大な黒い影にピエロ仮面は不意をつかれ、殴り飛ばされる。 ジョーカーの表情に笑みが浮かぶ。こんなことをするのはあいつしかいない。 「蝙蝠男、こんな異端の地までよくやってきたな?」 だが、そこに現れたのはジョーカーの知るものではない。 黒いマントをなびかせ、長い金色の髪をなびかせる女。 「…あなたが捕まえた人質を返しに貰いにきた」 「ふ、フフフ…フハハハハハハハハハハ」 フェイトの姿を見たジョーカーは再び大きな声で高らかに笑う。 「バットマンの新しい女か?それとも猿真似上手な日本の犬か? 趣味の悪さも似ているみたいだな。だが、顔をそんなにはっきりと見せるところだけは、性格が良いと褒めてやる」 笑いながら、拍手する…そんなふざけたジョーカーに対して、フェイトはバルディッシュをジョーカーに向け、鋭い眼差しを向ける。 「もう一度言う、大人しく人質を解放して、抵抗をやめなさい」 「アハハハハハハハ。残念だ、お嬢ちゃん…断る」 ジョーカーは指を鳴らすと、両脇にたつピエロ仮面が機関銃を鳴り響かせる。 フェイトは、バルディッシュを高速で目の前で回転させると銃弾をすべて弾いていく。 そしてそのまま一気に近づき、機関銃を持つ男たちをバルディッシュで腹部や背中をたたき、気絶させる。 そしてジョーカーの襟首を、掴み車の上に押し付ける。 「わぁっ!わぁっ!わかったから、こ、殺さないでくれぇ!」 「人質はどうした?」 「別にトラックにのせた」 「目的地はどこだ」 「そ、それはいえん」 フェイトの手に力がはいる。 「あ、あ……わかった、わかったから…あんたの強さには恐れ入った。まさか日本にこんな強いお嬢さんがいるとは……今回は素直に負けを認める」 ジョーカーは両手をあげながら、震えた声でそうつげる。 フェイトはそのジョーカーの言葉を信じて、手の力を緩める。 「やめろ!」 誰かの声が聞こえた、その瞬間… ジョーカーの服の隙間から、手榴弾のような丸いものが落ちると凄い勢いのガスが噴射する。 その勢いに手を離してしまうフェイト…。 催涙弾?よくわからない… 「アハハハハハハ、お嬢さん、また会おう!」 煙の中、車の走り出す音と、笑い声だけが頭に残った。 そしてフェイトの意識はそこで途絶えた。 高町なのはが現場の下水道駐車場に辿り着いたのは、それからすぐのことだった。 なのはは、フェイトとは別に、ヴィヴィオの持つ携帯の発信機を元に近辺の人質が乗っていそうなトラックを探していたのだが、 トラックを乗り換えられたことで、その電波もまたトラックの防護壁か何かによって遮断を受け、電波を失ってしまっていたのだ。 倒れているフェイトに駆け寄るなのは。 フェイトを抱きしめ、なのはは、そのフェイトのぬくもりを確認する。 「…ガスを少し、吸い込んだだけだ」 その声に振り返る、なのは。 そこにたつのは、黒きマント…顔を覆った黒きマスク。 すべてを黒に覆うそれは、こちらを睨む。 「お前たちが何者か、検索する気はないが……、私の邪魔をするのは、やめてもらおう。ジョーカーを捕まえるのは私の仕事だ」 その姿は、どこかおぞましいものを感じる。 とてもヒーローというものとはかけ離れた存在…そして気配。 「……私たちの助けたい人たちも人質の中にいるの」 なのはは、それに負けずに告げる。そう、ヴィヴィオがいる。 ヴィヴィオは私たちの娘。大切な存在。 幾多の戦いの中で、手に入れた…存在。 「…君たちではジョーカーには勝てない」 冷淡に、はっきりと告げる黒きマスクの男。 なのはは、言い返そうとするが、フェイトちゃんから発せられた声で、視線を移す。 「なのは……ごめん、私」 「うぅん…大丈夫だよ。だから今は…休んでいて」 なのはは、なぜ、そこまではっきりと自分たちではジョーカーを倒せないか問い詰めようと、再び視線を移すが、 既にそこには黒きマスクの姿はない。 なのはは、悔しさに心を震わせながら、ヴィヴィオの奪還のために次のことを考え始めていた。 一般道を走る車の中で、ハンドルを握るジョーカーは、先ほどのことを考えていた。 日本政府にあのようなものがいるとは考えていなかった。 そもそも、あれは本当に政府の存在であるのか? 目的はなにか……政府の要人。蝙蝠男と比べると負ける気はさらさらないが、面倒そうな存在ではある。 ジョーカーはそこでニヤリと微笑む。 相手が何を求めているか、そして最高のショーにするためのものを同時に考えついた。 ヒントはそう、アメリカのつまらないヒーロー漫画よりも、よっぽど面白い日本の漫画から考えついたものだ。 「バットマン~♪タ~ララララ、タ~ララララ、バットマン~♪」 ジョーカーは口でそんな事を歌いながら、車を走らせていく。 その崎に見える、光り輝く彼の根城を目指して。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/uncyclopediamabiwiki/pages/2539.html
ここでは、魔法少女リリカルなのは A sにて使用された語るも恐ろしい驚異・恐怖の魔法の数々を紹介する。 魔法 高町なのはさんの魔法 スターライトブレイカー(+/ex) 魔砲少女と言われる由縁であり、なのはと友人になる為には受けきる必要がある。魔砲少女成り立て時最強の砲撃魔法。 ディバインバスターのバリエーションである。 周辺の魔力カスを集め、対象に向かって全力全壊でぶっ放す。 技の特性上、発動までの時間は長いが、戦闘時間が長くなるほど強力になる。 戦いの中で進化し「スターライトブレイカー+」→「スターライトブレイカーex」となる。 ブレイカー+はチャージ時間が増える代わりに威力が大幅に増し、結界破壊の追加効果あり。 ブレイカーexはカードリッジの全弾(6発)ロードによって威力はそのままにチャージ時間を極限まで短縮するという効果が追加されている。 ノーマルモードでも当然街の1つや2つ吹っ飛ぶ威力を持つが、なのはさんでも流石にブレイカーexを撃つとバテるらしい。 「お前が避けると地球はコナゴナなのー!」と言いながら放つため、敵は受け止めるしかない。 バリエーションとして、“夜空に向けて、砲撃魔法平和利用編”「スターライトブレイカー打上花火バージョン」が1期サウンドステージ03で公開された。 これは破壊力皆無のSLBの魔力光の飛散を、ユーノの補助により造形させたものであるが、だからといって連射するのは少々やりすぎである。 なおこの際ユーノは結界を張り忘れるという大チョンボを犯しており、「海鳴市」という都市伝説に事欠かない地方都市に新たな都市伝説を生み出したことは想像に難くない。 ディバインバスター 第1期3話目で初お披露目となったなのはの必殺魔法。 ディバイン(Divine = 神の)バスターである。 なのはが魔砲少女の異名を持つのはまさにこの魔法があるからといえる。 ありきたりな展開が続き3話で視聴をやめると考えていた多数の大きなお友達を釘付けにし、数多の一般人をこちらの世界に引きずりこんだという。 お手軽かつ強力なので数多の強敵達の心に桜色の恐怖を刻み込んだ。バリエーションも豊富である。 なおこの魔法を使ったなのはさんの勇姿こそが、遠い未来のバスターガンダムのモデルである。 フラッシュインパクト レイジングハート本体に圧縮魔力を込め、後述のフラッシュムーブで一気に間合いを詰めた敵に本体ごと叩き付けるなのはさん唯一の打撃技。 フェイトの反応があと少し遅かったら脳天をカチ割られていたかもしれない…。 エクセリオンバスター 2期11話にて初お目見えとなったなのはとレイジングハートの新必殺魔法。当然威力はSLBより強い。 バレルショットというバインド効果を持つ透明の衝撃波で相手を拘束し、じっくり恐怖を感じさせた後エクセリオンバスターをブチかます某勇者王のヘルアンドヘブンのような技。なのはさんマジ外道。 エクセリオンバスターA.C.S(Accelerate Charge System) エクセリオンバスターのバリエーションで、デバイスの強化と共にパワーアップしたなのはの究極最強必殺技。 バリアを展開し、レイジングハートごと突撃しゼロ距離でぶっ放す魔法。 通称デンドロビウム。自らも傷つくという高いリスクをものともせず突貫する姿に画面の前で思わず落涙した者もいたかもしれない。 保身無き零距離砲撃。その少女は桜色の魔力光とともにやってくる……戦場の御伽噺です。 フライアーフィン 靴から生えてる桜色の翼。とってもメルヘン。しかしある意味この魔法のせいで1期開始当初CCさくらに似ていると言われたと考えると……それでもやっぱり好きだと言う人、先生怒らないから手を上げなさい。(゚ρ゚)ノ 物理的に考えるとあれでは体勢を大きく崩され、劇中のようには到底飛べないが、「翼の揚力で飛ぶ」のではなくあくまでも「飛行を象徴する形状」と解釈するのがより現実的である。 フラッシュムーブ フライアーフィンに魔力を与えることで、ニトロを与えられたパッソル改のような急加速を行う魔法。アクセルフィンでも多分使える。 速度は高いが機動性はそこそこ。突撃前提ですかあなたは。マリオカートで言うとクッパな感じのなのはさんだからしょうがないな。 リストレクトロック 拘束魔法(バインド)の一種で、拡散した魔力をひとつにまとめた上で固定する、収束系の上位魔法。 1期サウンドステージ01で初公開、1期11話ではフェイトをSLBの的にする為に使用した。 なのはが最初に習得した魔法であり、それ故もっとも練度が高い魔法でもある。 砲撃の的を捕縛する為に愛用している。 ジャケットパージ なのはさんが受けたダメージはバリアジャケット(防護服)に蓄積されていくが、限界を超えると防御のために自ら爆発して吹っ飛ぶ。つまりは、爆発反応装甲。最後の手段なので、これを使った後は完全に無防備だ。狙いどころだよ? フェイト・テスタロッサの魔法 フォトンランサー(フェイト アルフ) 発射体フォトンスフィアから放たれる魔力の矢。フェイトが最初に覚えた魔法で1期序盤で主に使用された。なのはさんを昏倒させたこともある魔法だが、A sではシグナムに直撃させたのに無傷というドラゴンボール的な展開に使われてしまった。 発射バリエーションも多くアルフも使用可能。 アークセイバー 鎌形態のバルディッシュで使用する魔法。刃の部分を飛ばして攻撃する。つまりソニックブーム。 …地味だけどかっこいいと思うんだッ! バリアにあたるとガリガリするし! フォトンランサー・ファランクスシフト 1期11話の死闘でフェイトが用いた切り札。詠唱時間が長すぎるので、バインドと組み合わせるのが基本。 38個の発射体から秒間7発(計・毎秒266発)という凄まじい数のフォトンランサーを放つ。 しかしこの攻撃でもなのはさんを沈めることはかなわなかった。しかも外道ゲージを急上昇させてSLBの反撃を食らうことになる。 なのはさんマジ怪獣。 プラズマスマッシャー 電撃ビリビリビーム改。最大射程が落ちた代わりに威力と発射速度が上がっている。 こちらもディバインバスターと同様に二度使用され、二度とも防がれて終るという結果。 サンダーレイジ 広範囲を雷撃で攻撃する魔法。フェイトが無詠唱で放てる中では最強威力を誇り、傀儡兵の斧で両断されそうになっていたなのはさんを救った。 上記の事は、なのはさんが後に楽をしようとするために仕込んだんだ。 サンダーブレイド サンダーレイジの強化魔法。無数の雷撃の剣を目標に突き刺した後爆発させる。 シグナムが触手でえろえろ展開になりつつあった所で使用され、TVの前の多くの大きなお友達をガッカリさせてしまった魔法。 シグナムにも「助けを呼んだ覚えはない」と言われる始末である。 スプライトザンバー 術者周辺の補助・結界系魔法を問答無用で破壊する雷の大剣を作り出す魔法。闇の書内部空間を切り裂き、愛するなのはさんが待つ戦場へとフェイトは舞い戻った。 ジェットザンバー Template Q(*‘ω‘ *) 巨大化した雷の大剣で目標を一刀両断にする。一文字切りとか稲妻重力落しなどの技名ではないし、まして雲耀の太刀でもない。雷光斬りなら許す。 前述のスプライトザンバー同様に結界破壊効果を持つ。 プラズマザンバーブレイカー ザンバーフォームの刀身に全カードリッジとフェイト自身の魔力を収束した後、目標目掛けて砲撃としてぶっ放すフェイト最強必殺技。 ソニックムーブ 縮地とか神速とか神移とか。まぁ、そんな感じ? (キャラが右向き時、←ため→Pボタン) ソニックフォーム カミカゼ落雷の速さは音速のおよそ10万倍…もとい高速戦闘特化型のバリアジャケット。この状態になると両手両足にソニックセイルという追加の羽が装備される。この状態になるとソニックムーブを発動プロセス無しで使用することができるようになる。その反面防御力はがた落ちになるので(拳以外にまともなバリアが無くなる)ゆるい攻撃でも致命傷になってしまう。 いつものバリアジャケットはライトニングフォームと言う名前らしい。 大きなお友達の多くが8話の展開に燃えつつ(ほぼ)全身スパッツに萌えていたという。 二人の愛の共同魔法 ディバイン サンダーバスター(なのは フェイト) なのはさんのディバインバスターとフェイトのサンダースマッシャーによる友情クロス。巨大傀儡兵を一撃で撃破して時の庭園の外壁をもぶち抜いた。 N F中距離殲滅コンビネーション空間攻撃『ブラストカラミティ』(なのは フェイト) なのはとフェイトのシンクロ率が100%を超えると使える愛と友情の合体攻撃第2弾。 名前が長いし何となく凄い威力っぽく感じる。 ユーノ・スクライアの魔法 スフィアプロテクション 球状の障壁で目標を覆う防御魔法。 離れた複数の目標に同時展開が可能。闇の書の雷の余波を単独で防ぐ事が出来る割と強い防御魔法……の割に一回しか使われていない。 ラウンドガーダー・エクステンド 地面に半球形の回復機能付き防御結界を作る魔法。 発展形と名が付いてはいるが、ラウンドガーダーという結界魔法が出ていないため説得力に欠ける。ただのラウンドガーダーで別に良かったハズだ。 なのはが重傷を負った際にユーノはなのはをこの中に匿ったが、結局スターライトブレイカーの材料にされてしまった。哀れ。 封時結界 通常空間から特定の空間を切りとり、時間信号をズラす魔法とかなんとか。 『リリカルなのは』本編では地球の魔力が身体に合わない(贅沢な野郎である)とかですぐに解けてしまっていたが、中で壊したものが元通りになる仕様はステキだと思う。 夜の校舎の窓ガラスを全損させてもバレない。 トランスポーター・ハイ(アースラ&ユーノ) アースラの機能の一つでもある高位転送魔法。 具体的にどこがどう高位なのかはわからないが、別々の場所にいた四人の魔導師を同時に転送していたところを見るに高位だったのだろう。多分。 船とユーノしか使えない魔法。さっぱり凄く感じないフレーズだが、きっと凄いことなのだろう。高位らしいし。 検索魔法 検索する魔法。何をとかどうやってとかは流すべし。とにかくものを検索する魔法なのだから検索魔法である。 なんかぬこ姉妹が褒めていたところを見るに普通とは違うらしい。具体的には不明であるが。 部屋で耳かきとか無くしたときに便利そうな魔法ナンバー1。 読書魔法 本を読む魔法。幾つもの書籍を同時に読むことが出来る。 本なんてものは一冊一冊じっくりと読まないと楽しくないと思うのだが十冊くらい同時に読んでた。 聖徳太子だってそんなことはやらない。それ以前にやって楽しいとは思えない。非常に頭が疲れそうな魔法。 八神はやてとヴォルケンリッター関連の魔法 石化の槍『ミストルティン』(八神はやて リインフォース01) 対象物を石化させる効果を持つ光の槍を放つ魔法。 何となく魔法剣と合わせたら強そうな感じがするのは何故でしょう。 スターライトブレイカー(闇の書の意志) 蒐集したなのはのリンカーコアから闇の書の意志がコピーした魔法。 往年の少年漫画を思い出させる展開に多くのファンが魅了されたとかされないとか…。 オリジナルに比べ収束技能が劣り、蒐集した魔法の行使にはタイムラグが付くためチャージが非常に遅い。 そのため、なのはさんのピンチを救ってしまう結果になる。 「お前には速さが足りないッ!」 フェイトは見た瞬間に回避距離を取ろうとしたが、なのはさんは「そんなに離れなくても…」と発言していた。自覚ない辺り流石である。 ラケーテンハンマー(ヴィータ) ラケーテンフォルムに変形したグラーフアイゼンをカードリッジの魔力を使いロケットのように加速させ、いつもより多く回転しながら目標へ接近。「ロケット」+「ドリル」という夢とロマンを乗せた強力無比な一撃を目標に叩き込む。2期第1話でなのはさんのバリアを「ブチ抜き」、レイジングハート本体も損傷させた。よく目が回らないものである。 フランメ・シュラーク(ヴィータ) 命中時に着弾点を燃焼させる効果を持つ打撃付与魔法。しかしなのはさんには全くダメージを与えられず、逆に炎の中から現れるという古典的だが燃える演出に一役買ってしまった。攻撃魔法としてはまったく活躍できなかったが、名シーンの演出をしたという意味では大活躍した魔法だ。 ギガント・シュラーク(ヴィータ) ハンマーを超巨大にして叩き付ける!! いちいち承認を受ける必要は無い。 「○ルディオンハンマー!! ○ンマーヘル○ンドヘブン!!!」 …別に光にはなりません。 餅つきにも使えます。 アイゼンゲホイル(Eisengeheul)(ヴィータ) スタングレネードな補助魔法。黒板を引っかいた音とか発泡スチロールを擦り合わせる時の音を大音量で流し、周辺生物全ての聴覚に甚大なダメージを与えつつ強烈な閃光でクラクラさせる。 現実に使われたら1番嫌な魔法かもしれない。 フェアーテ(ヴィータ) 両足首の周りに出現した魔力の渦を用い、一時的に動きを素早く出来る魔法。 ふわりと舞い上がるスカートにドキドキした人、先生怒らないから手を上げなさい。 旅の鏡(シャマル) なんか可愛らしい名前の割に、初登場でいきなりなのはさんを貫通しぶち抜いた(性的な意味ではない)シャマルさんの魔法。 リンカーコアをちょちょいっとくすねることができる。間違って臓器とかくすねないで本当に良かった。シャマルさんうっかりだから…。 あまりの反則ぶりに、リンカーコアの蒐集時にボロボロに傷ついていたゲボ子が哀れに感じられる技である。 紫電一閃(シグナム) 魔力を上乗せしたレヴァンティンでたたっ斬る! ジャンプテイスト溢れる素敵な魔法。 飛竜一閃(シグナム) レヴァンティンを一旦鞘に収め、居合い切りの要領で一気に抜くと同時に魔力を上乗せしたガリアンソー…もといシュランゲフォルムで一気に真っ二つにする技。 いちおう斬撃技だけど砲撃技とタメはれる射程と威力を持つというこれまたすげえ技。 この技を見て、某死神漫画のアレや某不殺漫画のソレを連想した人は少なくないはず。 ファントムフェニックス(Phantom Phoenix)(シグナム) 攻撃 5400→7000→8000 射程 1~8 命中 +30 クリティカル +20 必要気力 130 消費EN 50 空A 陸A 海A 宇A 封鎖領域『ゲフェングニス・デア・マギー』(Gefängnis der Magie)(ヴィータ、闇の書の意志) 術者が設定した条件を満たす物だけを内部に残すという今週のビックリドッキリ魔法。 堅さは天下一品でアルフでは歯が立たなかったが、内側から放たれたなのはさん渾身のスターライトブレイカー+によってあえなく吹き飛ばされた。後に10話でも闇の書の意思が使用し、はやてに深く関わった者を内部に閉じ込めた。その結果アリサとすずかも巻き込んでしまった。 身体だけを残したいと思ったオタは多いに違いない! (もちろん服は残さないよ?) 静かなる癒し(シャマル) 魔力・体力・負傷・バリアジャケットの破損を修復してくれるミラクルなベホマズン。 これさえあればアンプロシアもエリクサーもソウルクリスタルもいらない。 傷ついたなのはさんとフェイトを回復させると同時に、艶っぽい唇のアップでTVの前の大きなお友達を元気にさせてしまったという逸話が残っている。 通信妨害(シャマル) 念話の通信を妨害する魔法。携帯電話も妨害できる模様? これ以外言いようが無い。 こういうときは落ち着いて固定電話や公衆電話を使いましょう。 鋼のくびき(ザフィーラ) イマイチ地味で目立てなかったザフィーラの必殺技。 どう見ても攻撃魔法だが、盾の守護獣を名乗る本人の強い希望により防御魔法に分類されている。 人間にキメたらこれだけでも逝きそうな気がする。 クロノ・ハラオウンの魔法 スティンガーレイ 速度とバリア貫通性能の高い光の弾丸を撃つ魔法。1期8話において疲弊したフェイトを撃墜し、TVの前の大きなお友達のブーイングを浴びた。 スティンガーブレイド・エクスキューションシフト 盾の守護獣ザフィーラにクロノが叩き込んだ必殺魔法。無数の光の剣が目標へ降り注ぐ。 発動後にゼェゼェハァハァ言ってた割にザフィーラはほぼ無傷だったため、実はクロノって大したことないんじゃないか論争が巻き起こった。ただでさえ地味なのに活躍しないとヘタレ扱いされるぞ、という好例である。 なぜか肝心の「スティンガーブレイド」単体は登場していない。 ブレイクインパルス 対象の固有振動数を解析してそれに合わせた振動エネルギーを流し込んで目標を粉々に粉砕する。 よーするにディスクXと同じような効果である。間違っても生身の人に使用してはいけない。 そりゃあもう、目も当てられないことになってしまう。だから禁止だよ、クロノ君? エターナルコフィン 水平線の彼方まで凍らせる最強の氷結魔法。映画デイ・アフター・トゥモローも真っ青な魔法である。 南極をちょっと凍らせてきてくれないか? ストラグルバインド ねこにゃん姉妹を捕まえた、対魔法生物用バインド。 そのときのことを尋ねても「いやー、あのときのクロスケは激しかったわ」「ねー」と顔を赤らめるばかりでそれ以上何も答えようとしない。 ディレイドバインド 模擬戦でフェイトを縛った設置罠。 当のフェイトにそのときのことを尋ねても「お…お兄ちゃんはやさしくしてくれたから…」と顔を赤らめ以下同文。 その他の方の魔法 サンダーレイジO.D.J(Occurs of DimensionJumped)(プレシア) 次元間を飛び越えて目標に攻撃を加えるプレシアママンの最大奥義。 戦艦にダメージを与える程の威力と、一個人を狙って放てる程の精度を併せ持つ。 体力と魔力を極端に消費するため、病弱のママンは使用する度に血を吐いてしまう。 浮気をした旦那をこれで病院送りにしたのが離婚の原因となった。 正式名称がなかなか公開されず魔法分類マニアを悩ませた。 アルカンシェル(アースラ)アースラはデバイスではないが似たような魔法をぶっ放す白い悪魔がいるので… 戦艦アースラの特装砲。しかし動作原理はトーゼン魔法そのものである。 発射すると着弾地点から半径百数十kmの空間をすべて消し去るという、なのはさんもびっくりな魔砲。あのムウ・ラ・フラガでもコレの直撃を受けては不可能を可能に出来ない。ちなみに日本列島の地殻の厚さはせいぜい10~30km…もにゅ? 桁が足りないぞ? もし海鳴市に着弾していたら、「はやてちゃんのおうち」どころか、それこそ地殻津波が起きていただろう。 いやいや原爆みたいに空中で爆発させて…地殻をえぐらないように……するには…成層圏(上空15km~50km)の遙か上空で爆発? なにげにトンデモ兵器だ…。雲が浮いてるのは幾ら高くても15kmまでだよ…? 海鳴の山の少し向こう位だと空のほとんど全面を覆う光の壁が見えるでしょう(汗 きっと全力全壊は自重して、出力1%くらいで撃つモノなの。 クリスタルケージ(仮面の戦士) なのはとフェイトを無力化した魔法。ピラミッド型の結界に閉じ込める効果を持つ。 狭い所に二人きりという状況…若い男女なら間違いが起きていたかもしれない。 なのはとフェイトの場合も、もう少し時間があれば間違いが起きていただろう。 チェーンバインド(使い魔たち) 相手を拘束する触手的魔法。ちょっとやそっとじゃ破れないため、当たらないのが戦闘の基本である。 戦闘の補助や邪魔されないように使うのが基本だが、なのはさんは「恐怖をじっくり感じてもらうため」に使用。 プレイには必須になりつつある。 赤竜召喚(無名魔導士 闇の書の意志) 触手を持つえろえろ赤竜を召喚する素敵魔法。闇の書に蒐集された無名の魔導士の技で2期10話においてなのはとフェイトを緊縛するという大役を果たした。 汎用魔法・他 変身魔法(多分色んな人が使える) 古今東西あまたの魔法少女達が義務のように使える魔法。だが近作において変身魔法と呼ばれるものは、ネコミミ師匠sが使用した別人への変身を行う魔法の事を指す。一応ヴォルケンリッターも使えるらしい。 重要な萌え要素であるがほとんど有効活用されていない。 念話(魔導師なら当たり前に使える) NTTやAT Tやドイツテレコムや中国電信その他世界の電話会社に死亡通知を突きつける魔法。妨害がない限り電波状況に関係なくリアルタイムで次元間での通信が可能。 電波法には多分触れないので安心して欲しい。家庭用電話機を通じて一般人と会話することも可能らしい。 注釈 Template 魔法少女リリカルなのは(*‘ω‘ *) Template DEFAULTSORT まほうしようしよりりかるなのはのまほう(*‘ω‘ *)
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/99.html
魔法 この世界の魔法は「プログラム」として準備され、詠唱や集中のトリガーによって発動される技術である。 魔法を扱うものは、そのプログラムを自分自身や魔法の発動体にセットして行使する。 魔法を発動させるためのエネルギーとなるのは術者が体内で生成する「魔力」であり、その容量や資質は個人によって異なる。 訓練を受け、魔法を使いこなす者たちは「魔導師」と呼ばれる。 災害救助や事件捜査をはじめ、さまざまな場面で魔導師たちは活躍する。 デバイス 魔導師たちが魔法の発動体として使用する精密機器。杖状のものをはじめ、様々な形状・種別がある。 魔法データの保存や発動補助、打撃武器としての使用、使用法も個人によって様々に異なる。 中でも人工知能を組み込んだタイプは「インテリジェントデバイス」と呼ばれ、術者とともに経験やデータの蓄積によって進化していく。 なのはが保有する「レイジングハート」もインテリジェントデバイスである。 レストリクトロック 対象を拘束する「バインド」系魔法の一種。「指定空間内の物体をその場に固定する」機能を持つ。 エースオブエース・高町なのはが10年前、一番最初に覚えた高位魔法である。 ディバインバスター・エクステンション 魔力を撃ち出す「砲撃魔法」。高密度に集圧された魔力は長距離を減衰することなく直進し、対象を撃ち抜く。 なのはが最初の覚えた攻撃魔法であり、習得以来10年、最も愛用し、得意とする魔法でもある。 飛行 魔導師たちは飛行可能なものも多いが、飛行にはいくつかの適性がある。「飛行」や「浮遊」自体は比較的初歩の魔法ながら、 高高度を自由に飛行する状況においては、空間把握能力や各種の安全措置、飛行のための魔力安定維持等、さまざまな能力が必要とされる。 このため、ミッドチルダでは正規の訓練や適性試験をクリアしたものでないと、高々度飛行魔法の学習はできなくなっている。 一方、高所作業時の安全確保のための浮遊・落下緩和魔法(「高所リカバリー」と呼ばれることが多い)は誰でも学ぶことができるため、 訓練時間のかかる高所飛行魔法は修得しないまま自身の魔法を極めてゆくものたちも多い。 時空管理局では、高所飛行が可能な者を「航空魔導師」、飛行能力を選択しなかった者たちを「陸上魔導師」と呼称する。 魔導師ランク試験 次元世界の司法機関「時空管理局」では、魔法を扱う者達に対して、「魔導師ランク」という資格試験を設けている。 魔法の方向性によって、医療・開発・学問等、さまざまな分野に分類されており、 戦闘関連の魔法ランクは種別は対応空間に応じて「陸戦・空戦」の2つに分けられている。 これらの魔導師ランクは単純な魔力や戦闘能力の強さではなく、あくまで「規定の課題行動を達成する能力」の証明である。 なお、一般の武装隊員はD~Cランクがもっとも多く、Bランクは多くの空・陸戦魔導師たちが最初にぶつかる壁として知られている。 バリアジャケット 魔導師達が身にまとう、戦闘用の防護服。自身の魔力で作り出す。 布地・装甲部分以外にも不可視のバリアが常時張られ、衝撃・温度変化・魔力攻撃等に対して防御効果を発揮する。 スバルとティアナのバリアジャケットは、インナーは2人のオリジナル。上着は陸上武装隊共通のものである。 通常、武装隊所属の魔導師はインナーも含めて規定・あるいは部隊ごとのジャケットが決まっているが、 2人は通常勤務ではバリアジャケットを使用しない部署(災害担当)であるため、試験用にと作成したものである。 サーチャー・オートスフィア 魔力で駆動する遠隔操作・自律行動機械。 サーチャーは映像送信用の機械で、オートスフィアは戦闘訓練用の「攻撃してくる的」である。 試験では試験監督が配置・管理・操作する。 リボルバーナックル スバルの使用する右手用デバイス。 手首の回転リング「ナックルスピナー」で魔力を加速、回転の力を加え打ち出す・あるいは打撃の威力強化を行う機構を持つ。 手首上部にセットされたカートリッジシステムでの「カートリッジ」消費により、瞬間的に爆発的な威力を発生させることも可能。 スバルはとある事情から、非常に深い思い入れを持って愛用している武装である。 カートリッジは6連リボルバー。弾丸補給はシリンダーごと交換する。 自作ローラー スバルが自分で組んだ、走行用の簡易デバイス。 魔法の記憶をはじめとする補助機能はほとんどなく、ごく単純な作りとなっている スバルの魔力で駆動、思考によって前進・後退・踏ん張り時の車輪ロック等の挙動を行う。 アンカーガン ティアナの自作デバイス。機能は最低限ながら、魔法記憶や弾丸加速といった基本部分は押さえてある。 弾丸は2連装。一発のカートリッジロードで、最大十数発の魔力弾発射が可能。 高威力・高性能な弾丸や魔法ほど魔力消費量は大きく、カートリッジの消費も早くなる。 シュートバレット ティアナの基本魔力弾。圧縮した魔力を弾丸状に形成、加速を加えて打ち出す。 魔力運用により、中~長距離での射撃や範囲攻撃、遠隔効果発生といった、一般イメージにおける 「いわゆる魔法」であるミッドチルダ式魔法の術者であればほぼ全員が一度は学習する基本中の基本魔法だが、 ティアナは射撃の専門家を目指すべく、徹底して鍛え上げている。 シューティングアーツ スバルの使用する、魔力駆動ローラーの使用が前提の格闘技術。 ローラーで前進・加速・車輪ロックによる踏ん張りを駆使し、全身で叩き付けるような突撃・打撃攻撃が特徴。 武器・身体強化や直接戦闘を旨とした前衛型術者のための魔法術式「ベルカ式」との組み合わせが基本。 リボルバーシュート リボルバーナックルから放つ衝撃魔法。 魔力発射を不得手とするベルカ式が前提で、射出武器も持たないシューティングアーツの術者が、 ショートレンジで離れた相手に対抗するための魔法。スピナーで加速した衝撃波を発射、対象を破壊する。 距離による減衰が早く、打撃と比較して威力も劣る傾向にあるが、離れた相手への一手や、「面」での攻撃として有効な場面は多い。 オプティックハイド 幻術魔法。術者・あるいは接触した相手の体・衣服の表面に複合光学スクリーンを発生させ、一時的に不可視の状態にする。 レーダーやセンサーも、単純なものであれば騙すことが可能。 激しい動きや強度の魔力使用を行うと、スクリーンの持続時間は加速度的に短くなる。 クロスファイアシュート ティアナの射撃魔法。複数弾丸の同時制御による空間制圧射撃を目標として組んだ魔法で、発射した弾丸は誘導制御が可能。 この射撃魔法を中心に組んだスバルとのコンビネーションが「クロスシフト」となり、2人が最も得意とするコンビネーションである。 最終障害 オートスフィア 魔導師ランク試験の内容は、ランクごとに4~8種類程度のメニューの中から、ランダムで課題が選出され、 試験官・試験監督がルールに従ってそれを配置する。 Bランク試験では約4分の1の確率で選出されるこの大型狙撃オートスフィアは、一般的なBランク魔導師では対処が非常に困難であり、 これが最終課題となった場合、受験者の大半が落第すると言われている。 基本の対処法は、他の課題でタイムを短縮し、大周りでオートスフィアを避けて通る、回避防御スキルをフル活用し、 攻撃を避けてゴールを目指す、の二種である。 2人もスタート時にはこの二種の合わせ技(十分な距離を取りつつ、幻術とフットワークで狙撃を回避してゴールする)を想定していた。 フェイクシルエット 高位幻術魔法。任意の幻影を作り出し、それが本物のように動作させる。 シルエットは衝撃を受けると破壊されてしまうが、実際に触れない限り、目視や簡易なセンサー類で真贋を識別するのは極めて困難。 魔力消費は極めて大きく、現在のティアナの魔力・制御能力では、2~3体を数分維持するのが限界。 ウイングロード スバルの特殊魔法。魔力によって生成した「道」を作成し、空中を移動する。 生成した道は、スバル以外の他者でも乗って移動することが可能。 バリアブレイク 対象が張ったバリアのプログラムに対して割り込みをかけ、浸食・破壊する魔法。 不器用なスバルは腕力と魔力任せ、力押しでの破壊の割合が高いが、試験突破をかけた意地の一撃が、オートスフィアのバリアを破壊した。 ディバインバスター 火災救助時に目の当たりにしたなのはのバスターへの憧れから、スバルが自分で組み上げた魔法。 本来魔力を射出するのが苦手な近代ベルカ式術者のスバルながら、必死の努力によって生み出された「砲撃魔法」。 射程はわずか10数メートルと、砲撃とは言えないほどに短いが、カートリッジの魔力に加え、 体内の魔力を瞬間的・かつ爆発的に撃ち出すその威力は圧倒的。 高密度に圧縮された魔力に捻じ込む回転力が加わり、その破壊力貫通力は、スバルの持つ攻撃のうち、ナンバーワンの威力を誇る。 反面、モーションの大きさ・魔力チャージと発射シークエンスの長さから、使い所の難しい魔法であり、今後の課題と言える。 アクティブガード 衝突・衝撃緩和の魔法。低速度の衝撃爆発を発生させ、高速移動する対象を柔らかく受け止める・速度を軽減させることを旨とした魔法。 なのはの命令と魔力を受けて、インテリジェントデバイス「レイジングハート」が、スバル・ティアナの重量を想定・速度を計測、 速度ゼロになる威力を瞬時に調整、発動させている。 ホールディングネット 対象を受け止めるためのネット。墜落回避等のシチュエーションで多用され、 空を飛び慣れない魔導師の教導などの際には練習空域全域に張り巡らせることもある、なのはにとっては使い慣れた魔法。 柔らかき支柱【ヴァイヒ・スツーツ】 【防壁スポンジ】とでも言うべき、衝撃緩和用の緩衝材を発生させる魔法。 衝突物に対して自動的に伸展し、衝突物を受け止める。 シェルバリア 近代ベルカ式、ギンガの防御魔法。 発動時に大きな魔力消費を伴うが、発動後は一定時間維持され、熱や衝撃から内部の人間や物品を保護する。 プラズマスマッシャー フェイト愛用の砲撃魔法。 電気を伴う魔力砲で、インテリジェントデバイス「バルディッシュ」の微調整により、状況に合わせた的確な威力調節が可能。 ディフェンサープラス 防御魔法。衝撃・温度変化防御の機能を持つ。 ソニックムーブ フェイトの高速移動魔法。飛行速度を瞬間的に加速し、高速での移動を可能とする。 フェイトの魔導師としての最大の資質は「高速機動」であり、その能力を支える基本魔法の一つである。 ギンガの救出時には衝撃緩和の魔法も同時使用しており、ソニックムーブでの救出時にもギンガの体にダメージを与えないよう配慮している。 氷結の息吹【アーテム・デス・アイセス】 広域凍結魔法。 圧縮した気化氷結魔法のキューブを生成、凍結地点に打ち込むことで周辺から一瞬で熱を奪い、凍結させる。 はやての魔導師としての資質は「遠距離・広域」で、後方からの攻性支援については圧倒的な能力を持つ。 反面、単身戦闘をはじめから想定していないはやては直接的な攻撃力は低く、シグナム・ヴィータら守護騎士たちのような強力な前衛に守られ、 司令部やパートナーであるリインからの正確な支援を受けることで最大の能力を発揮し、その強力な支援能力を持って前衛達を守り、 状況を突破するという能力資質となっている。 ソニックムーブ フェイト直伝の、エリオの高速移動魔法。 フェイトのソニックムーブは飛行強化の魔法だが、陸戦型のエリオはダッシュ・ジャンプの加速に性能をチューニングしてある。 地面や壁面を跳ねることで、攻撃・回避といった基礎動作において空間を立体的に使えるよう、フェイトが教え、エリオが鍛えた。 救出用の衝撃緩和魔法は、フェイトがソニックムーブとセットで教えていたこともあり、今回も上手に使用したようだが、 着地の失敗は未熟さ故とも言える。 探査魔法 魔法による目標物の探査。 はやての能力が「攻性支援」とした場合シャマルは「防性支援」の能力に特化しており、通信・探査・治療といったバックアップ能力に長けている。 ガジェットドローンの探査を行い、ヴィータたちに指示を出した。 鋼の軛 魔力によって生じさせた拘束条により、対象の動きを止める魔法。 本来は拘束・捕獲や進路妨害のための魔法だが、対象に直接突き刺すように発生させることで攻撃的な使用も可能。 シュワルベフリーゲン 鉄球をハンマーヘッドで撃ち出し、対象を貫き、破壊する魔法。 重量を伴う実体の鉄球は、魔力付与とハンマーヘッドの加速によって、並の魔力防御や装甲であれば紙のように撃ち抜く破壊力を持つ、 ヴィータの中距離主力魔法。ガジェットが展開したAMFをものともせず貫通している。 リインフォースII 機動六課部隊長補佐であり、空曹長。はやてとは親子のような関係で、はやての守護騎士・シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラと同列。 なのはやフェイトらとも顔見知り。30cmあまりの身体サイズ、常時飛行しているその生態。 機動六課の新規メンバーらも、その正体や本質について理解していない者も多いが、異世界交流が盛んなミッドチルダ故、 大半は「まあ、こういう人もいるのだろう」と、なんとなく流している。 その能力や存在の理由については、追って明かされてゆくことになる。 陸戦空間シミュレータ シャリオが設計、なのはが完全監修を行った、陸戦魔導師を鍛えるための空間を疑似生成するシミュレータ。 市街地や森林をはじめ、建物や障害物や足場状況を様々に設定することで、演習のための移動時間を大幅に短縮することができる。 なのはとフォワードたちにとっては、機動六課での日々の大半を過ごすことになる空間である。 ガジェットドローン 正体不明の機械兵器。自律判断による行動を行い、ロストロギアの探索を行う。 画像は現在確認されている「I型」。人間程度のサイズで、高速での浮遊移動を行う。 内部に【アームケーブル】と呼ばれる触手状の腕を持っており、物品の確保や電子機器への介入を行う他、 魔力を使用しない、内蔵電源による熱光線攻撃も行う。 リボルバーシュート 複数対象への範囲攻撃として、攻撃の「面」を使用したが、残念ながら命中に至らなかった。 ルフトメッサー スバルと同じく近代ベルカ式の使い手であるエリオは、射撃・射出攻撃を持たない。 そのため、やり方デバイス・ストラーダによる斬撃の際、魔力によって周囲の空気を圧縮・加速し、 空気の刃を飛ばすことでショートレンジに対応している。 付与した魔力がわずかながら残っているため、刃には魔力光の色が残っている。 ブーストアップ ミッドチルダ式の魔導師であるキャロは、味方の支援に能力が特化しており、ブースト魔法を対象に付与することで、 対象の各能力を向上させることができる。 召喚士は、個人で戦う際には、ブーストを自身の召喚獣にかけて戦闘支援を行うことが多いため、召喚とブーストは相性が良く、 一般的な組み合わせと言える。 (召喚士自体が「一般的」というデータを取れるほどには数が多くないものの、管理局に登録されている召喚士の多くがブースト系を使用魔法に加えている)。 弾丸強化・打撃強化・防御強化の他、フィールド貫通や加速など、さまざまな効果付与を使い分けることができる。 キャロの魔力や魔法の上達に応じて、強化の度合いも強くなる。 AMF Anti Magilink-Fieldの略。 範囲内での魔力結合・魔法効果発生を無効化する高位のフィールド系魔法防御。 カートリッジシステム ベルカ式術者のデバイス「アームドデバイス」には、魔力カートリッジシステムが搭載されている。 カートリッジ消費によって瞬間的に魔力を高め、攻防に生かす。 ミッドチルダ式のデバイスでも希にカートリッジシステムを搭載しているものがあり、なのは・フェイト・ティアナのデバイスがそれに該当する。 魔力変換資質「電気」 魔術師の中には、希に「魔力変換資質」と呼ばれる、魔力を直接的なエネルギーに変換することをごく自然に行える資質を持つ者がいる。 通常は魔法としての制御が必要なそれらの技能を自然に行えることで、自身の魔法に変換したエネルギーを付与することが容易となり、 意図的に変換する際にも高い効率で行うことができる。変換資質は1人1種のみ。 六課メンバーではフェイト・エリオが「電気」、シグナムが「炎熱」の資質を保有している。 スピーアシュナイデン ストラーダによる斬撃。高威力の斬撃だが、現状のエリオの能力では、いまだ魔法陣展開や長いチャージが必要で直接的な戦闘向きではないが、 障害物の突破などに有用。フォワードメンバー4人中、現状で「切断」の属性を有するのはエリオのみなこともあり。積極的に使用している。 ナックルダスター リボルバーナックルによる打撃。スピナーの回転によって高めた魔力で上体~拳を強化。直接打撃で対象を破壊している。 接近戦型のベルカ式術者はこういった「魔力結合に頼らない」戦い方が可能なため、AMFに対応しやすい傾向にある。 ブラストフレア 飛竜フリードリヒによる火炎砲。 火炎発射は、フリード自体の種としての能力だが、キャロの魔力を受け、着弾時爆裂・簡易バインド効果の性能を得ている。 (ただし炎弾が直撃しない限りは威力・バインド能力ともさほど高くない) 現状のフォワードメンバー4人の中では、スバルのリボルバーシュートと並ぶ数少ない範囲制圧攻撃である。 錬鉄召喚 鋼の鎖を召喚する魔法。 鎖は単なる鋼鉄の鎖だが、付近で動くものを自動的に捕縛する「無機物自動操作」の魔法をあらかじめ付与してある。 ヴァリアブルシュート 多重弾殻生成による対フィールド弾。外部の膜状バリアは対応するフィールドに対して激しく反応し、 その反応によってフィールドを瞬間的に中和、保護された弾丸をフィールド内へと到達させる。 射撃魔法の「最初の奥義」と言える技術だが、 フィールドを使いこなす高位の魔導師が相手の直接戦闘のような特殊な状況以外では必要とされない技術であり、 ここまで到達することのない「射撃型」も多い。 ティアナがこの魔法をすでに習得していたことは、そのままティアナの「射撃」に対する思いの深さと、 将来を見据えた鍛錬を重ねてきたことの現れでもある。 八神家 「夜天の主」八神はやてを家長に、守護騎士シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラ、リインフォースIIを加えた6人で構成される「家族」。 この一家についての詳細は。新暦65年に発生した「闇の書事件(※)」の記録データに詳細が記載されているが、現在、特秘事項になっている。 おだやかでおおらかな家長を中心に、それぞれ強い絆で結ばれた家族であり、もっとも遅く家族となったリインフォースIIは、 一家の末っ子的存在でもある ※「魔法少女リリカルなのはA s」の中核を成す事件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3317.html
―――傷を負った獣は、自身の痛みしか理解できない。 問答無用、もはやどんな言葉を呼びかけたとしても相手は応えない。 半ば覚悟の上の出来事だったとはいえ、こうも容赦も無くいきなりに殴りかかられれば高町なのはとて動揺する。 ……それに何より、悲しかった。 ただ只管に、激情に駆られるだけの怒れる獣でしかない今の目の前の男の姿が。 高町なのはには、悲しかった。 「聞いてカズマ君! 私は―――」 「喋んなっつってんだろうがッ!」 聞く耳持たない、そんな様子も顕に突き込んで来る相手の拳をプロテクションを発動して受け止める。 今までの比ではない圧力を防御壁越しに激突の瞬間に感じる。事前にこうしてリミッター解除をしていなければ、これだけで勝負がつけられていたかもしれない。 今のカズマは本気だ。本気で、こちらを叩き潰してくる心算だ。 問答無用で叩きつけられてくる肌を焼くような激しい怒気と殺気がそれを証明してもいた。 生存本能を嫌が応にも刺激させられる。このまま行けばこちらもまた危ない。 「シェル……ブリットォォォオオオオオオオオオオ!!」 プロテクションを突破しきれないことを苛立ったように、カズマは雄叫びと同時にその鎧纏う強靭にして鋭利な右腕を更に輝かせる。 右腕の甲が開き、背中のプロペラのようなローターを焼き切らんばかりに激しく回転させていく。 防御壁ごと打ち抜く心算、その自分のお株を奪うような無茶苦茶な力技の行使を察したなのはもまた、レイジングハートの先端に魔力を収束させる。 瞬間、拳の先端から放出される黄金の光のエネルギー波を、なのはもギリギリ発動を間に合わせたディバインバスターで迎え撃つ。 激突する黄金と桜色のエネルギーは暗雲で覆われた空すらも焼くほどの輝きを瞬間的に発生させる。 しかし視界を焼く閃光を潜り抜け雄叫びを発しながら、獣の拳が再び襲い掛かる。 なのははありったけのアクセルシューターを形成、物量を伴った面制圧にてその特攻を仕掛けてくる相手を迎え撃つ。 前後左右、あらゆる角度から防ぎきることもかわしきることも不可能と言わんばかりの勢いで魔力弾が次々にカズマへと向かって直撃していく。 リミッターという枷を外した本気の魔力弾は例え非殺傷設定であろうとその威力はこれまでカズマが散々に食らってきたものの比ではない。 ……がたとえ威力が増し受けるダメージが今まで以上になろうとも、今の怒れる獣であるカズマにとって痛みなどというものは既に忘我の彼方に置き去ったものでしかない。 たとえこの身が砕け散ろうとも、諸共にこの拳の一撃を叩き込み相手を粉砕する……彼の思考に存在していたのはそれだけだった。 そしてその反逆の信念は桜色の猛攻を問答無用で被弾しながらも強引に突っ切ることで、遂に眼前の標的にまでそれが迫る。 流石にこの猛攻を潜り抜けて来たことはなのはにとっても驚愕に値する事だったのだろう。その一瞬、驚きに見開かれた彼女の表情はその動きすらも止めていた。 その一瞬を逃すことなく、渾身の一撃を輝きを纏ったシェルブリットへと込めながらカズマは相手へと接近すると同時に叩き込む。 流石にそれでもなのはとて呆然としたままそれを直撃する愚だけは犯さない。咄嗟にプロテクションを展開しながら……されど勢いと威力に押し負けて弾き飛ばされる。 それを逃さずに追撃を敢行するカズマ。いくらでも防御できるのならし続けるがいい、最後にはそれごと打ち砕いてぶっ飛ばす、それしか彼の思考の中にはありはしなかった。 前へ前へ前へ! 攻めろ攻めろ攻めろ! 只管に、ただ只管に一心に、視野を狭めて集中、余計なものを視界と思考から全て除外して、相手をぶん殴るというその一点のみに己の全てを注ぎ込む。 今も昔もこれからも、自分はそうありさえすればそれでいい。……ああ、それで良いのだ。 しかし高町なのはとていい様に相手の猛攻ばかりにやられているわけにもいかない。兎にも角にも今の暴走した状態であるこのカズマを止める事、それこそが今の彼女にとっての最優先事項である。 なればこそ、こちらももはや躊躇ってはいられない。迷いは隙を生み、それは致命的なものとなり即敗北に繋がる事を眼前の相手と何度も戦いその身で理解していた。 故に、ここからはこちらも本気、全力全開。こちらもまた持てる全てを以ってしてお相手しよう。 その決意を固めた瞬間、フラッシュムーブを発動。上昇し迫り来る拳をかわす。咆哮を上げながら拳をかわされた事に苛立ったように逃げるなと言った様子で相手も上昇し追いかけてくる。 追ってくる相手へと振り向き、上昇してくるカズマへと向けなのははショートバスターを叩き込む。右腕のシェルブリットでしゃらくさいといった様子で弾きながら、尚も勢いを止めずに接近を続けてくるカズマ。 なのはとてショートバスター程度で今のカズマを如何こう出来るとは最初から思っていない。そのまま続けて再びシューターの弾雨を連続して叩き込んでいく。 しかしそれも温い。そう言うかのように最低限のものだけ弾き飛ばしながら、降りかかってくる魔力弾のことごとくを問答無用の前進にて無視しながらやはり向かってくるカズマに勢いの衰えは無い。 凄まじい、そう正直になのははカズマに対して戦慄と賞賛に近いモノを同時に抱いていた。猪突猛進とてここまで極められ、それが自身の身へと降りかかってくれば流石にゾッともする。 ……だがしかし、ここでそれに負けるわけにはいかないのも事実。今のカズマを相手には負けられない、譲れない意地がなのはにもあった。 なのはの次手――チェーンバインド。空中に出現した魔力で編まれた鎖、ユーノ直伝の拘束魔法はカズマへと殺到すると共にその身を雁字搦めに拘束しようとする。 だが…… それすらも物ともしない、自身を縛り付けることなど認めない、許さないと言わんばかりに群がる鎖を強引にカズマは引き千切っていく。 バインドの強度にはこれでも自信があったというのに、凄まじいとしか言い様のない相手の信じ難い馬鹿力には呆れにも近いものを正直、抱かなかったわけでもない。 だがそんなどうでもいいものこそ二の次。引き千切られたとはいえ僅かな間であろうともカズマの動きがそこで一度止まったのも事実。 この好機、逃がすほどに”白い悪魔”とまで畏怖されたエースオブエースは甘くは無い。 「レイジングハート!」 『All right, Strike Flame.』 レイジングハートの穂先に次の瞬間には形成される魔力刃。突撃槍と化したそれの穂先の照準をしっかりと下方のカズマへとブレも無く指し示す。 「A.C.Sドライバーッ!」 『Charge.』 その宣告がなされた瞬間だった。凄まじい加速と魔力による衝撃を付加した槍による突撃が鎖を引き千切った直後のカズマへと迫る。 上から下へ、重力の正しき流れにも従った勢いすらも後押しの味方に加え、シェルブリットで受け止めたカズマを地面へと叩き落すように一気に畳み掛ける。 真正面から押し返すはずの拳が自身ごと地面に向かって押され始めているのをカズマも自覚。同時、抱く屈辱の怒りは今までのものの比ではなく彼を際限なく燃え上がらせる。 「なめ……ん、なぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 こんな奴を相手に己の土俵で負けるわけにはいかない。退いてなどいられない。下がることなど恥辱の極みだ。 そんなものは断じて受け入れられない、それを証明するように押され始め、亀裂が入り始めていたシェルブリットがまるで補強でもされるように再び輝きを増していく。 一気に押し返す……否、そのまま突っ切ってぶっ飛ばす。そう決意しながら拳を前へと押し込もうとしたまさにその瞬間だった。 拮抗を生じさせるレイジングハートよりロードされる三発のカートリッジ。 槍の先端に膨れ上がるように発生する魔力の渦に、カズマの鍛え上げられた戦闘本能が相手が何をしようとしているのかを瞬時に悟る。 しまった、そう思った時には既に遅く。己の認識違いが致命的なミスを犯した事、それを歯噛みする猶予すらカズマには与えられなかった。 ……そう、最初から高町なのははこの槍による突撃で勝負を決めようなどとは考えていなかったのだ。 最初からいつだって、勝負を決める切り札は常に磐石のものとして鍛え上げて完成させてきたそれでしかない。 「ブレイク……シューーーートッツ!」 今も昔も高町なのはにとって決して他者に劣らぬ自負を持つその長所。 鍛え抜かれた魔砲の一撃を発射しながら、桜色の閃光がなのはとカズマ、両者を包み込み―――爆発した。 捨て身覚悟の保身無きゼロ距離射撃。 今ではほぼ自身でも禁じ手として封じていたエクセリオンバスターA.C.S。 自らもダメージ覚悟で叩き込んだその一撃は確実にカズマへとダメージを叩き込み、彼を地面まで叩き落した。 だが肩で息をつき、全身に走る激痛に顔を顰めながらも、それでもなのははまだ立ち止まらない。 まだ足りない、彼は立ち上がる。 それが確信として胸にあったからこそ、今度は油断も容赦もせずレイジングハートを眼下のカズマへと向け、新しいカートリッジを叩き込んでのリロード。 全力全開、真っ向からの砲撃で撃ち抜いて……決める! 「ディバィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン」 全弾リロードされたカートリッジを排出し、更に新しいカートリッジをレイジングハートへと勢いよく装填する。 漸くにダメージが抜け切らない様子ではあるが、何とかふらつきながらも立ち上がったカズマへとなのははその瞬間を狙って、膨張する桜色の魔力砲の渦を一気に叩き込む。 「バスタァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 タイミング、そして威力。どちらをとっても防御も回避も不可能。 それどころか現状のカズマでは対応そのものがおぼつかず。 出鱈目と評していい戦艦の砲撃染みた魔砲の光はカズマを包み込み、吹き飛ばした。 視界を焼く桜色の極光。 今まで感じたことも無い程の全身をバラバラに吹き飛ばされたのではと錯覚しかねない衝撃とダメージ。 完膚なきまでの最大出力で撃ち込まれてきた高町なのはの砲撃。 その桜色の魔砲の渦に吹き飛ばされ、地面へと勢いよく叩きつけられながら、手綱を手放しかけた自己の意識を無理矢理に引っ張り込んで維持する。 とはいえ全身に喰らったダメージの影響で指先一つピクリとすら動かせない。思考とて己を保っているとは断言も仕切れない朦朧としたもの。 確実に、もはや戦闘続行が不可能という状態にまで自身が追い込まれた事をカズマは自覚した。 ……強い。 先の戦いでも正直に思い、実感したことだがこれはもはや悪魔染みたというレベルですらない。 完全に圧倒され、蹂躙され、そして叩きのめされた。 ……負けるのか、そんな弱い考えすら恥も外聞も無く正直に抱きかけ――― (……冗談じゃ……ッ……ねえ……ッ!!) ―――歯を食い縛ってギリギリで、その弱い考えを無理矢理に振り払う。 負けられない。……そう、負けられないのだ。 もう、絶対に……自分は負けるわけにはいかない。 それがこの女だろうが、劉鳳だろうが、誰であろうが変わりは無い。 当然だ、何故なら――― (負けるかよ……ッ……負けられるわけ……ねえだろう! なぁ、君島―――ッ!?) 君島邦彦。 その名を背負い、刻み続けている限りは絶対に負けられない。 負けることなど、許されない。 君島はカズマにとって生涯最高で恐らくは最後となる相棒でありダチだ。 彼はチッポケなこんな自分なんかを信じ、その強さに憧れ、希望を抱いて最後には誇りを持って逝ったのだ。 “シェルブリット”のカズマにとって相応しい無二の相棒として………。 ならば、そんな自分がどうして負けられる。膝を屈することが許されるというのだ。 許されるはずが無い、認められるはずが無い。 ここで自分が誰かに負けてしまえば、それはそのままイコールで君島の死すらも敗北と言う形で穢してしまう事になる。 最期まで誇りを持って、確かに勝ち誇って逝ったアイツの、とても満足な打ち立てられた『生きた証』を、一体何処の誰が穢す事が出来るというのだ。 出来るはずが無い、許されていいはずが無い。 だから……だから、絶対に負けられない。負けることは許されない。 “シェルブリット”のカズマである事を選んだ以上。 アイツを置き去りにしてまで進むと決めた道である以上。 死んだって、もはや誰にも負けるわけになどいかないのだ! だから――― 「………嘘」 気味の悪いデジャヴを体験しているようだ。そう正直に高町なのはは思った。 絶対にもう立ち上がれない、そう自分が確信を抱くほどに非殺傷設定でなければ生命の保障もできかねないレベルと言っていいほどにまで徹底した勢いで自身の全力を叩き込んだはずだ。 だというのに――― 「……負け……ねえ……ッ……負けらん…ねえ……んだよ……ッ!」 ふらつく足取り、辛うじて立っていると言っていいボロボロの状態。 であるにも関わらず、初遭遇によるあの時の戦闘と同じように、再びカズマは立ち上がってきた。 正気の沙汰では無い。命知らずだとか異常なタフさだとかそんなレベルですらない。 あっていいはずがない、否、あってはならない。 駄目だ、もうこれ以上は駄目だ。そうなのははカズマへと思い、叫びだそうとした。 だがソレすら遮るように先んじて、消え入るような掠れた独り言をカズマは呟き続ける。 「……負けるわけには……いかねえ。ここで負けちまったら……俺は―――」 ―――ただのクズに戻っちまう。 “シェルブリット”のカズマとしていられなくなる。 駄目だ、それだけは駄目だ。絶対に許容できない。 君島はいない、もう何処にもいない。 背負ったのだ、アイツを。アイツの誇りも信念も、やり遂げた『生きた証』も。 これだけは……もうこれだけは、絶対に誰にも奪わせない。 “カズくん”へは二度と戻れない以上、この生き方を奪われるわけにはいかない。 ただのクズになどもう……戻れない! だから――― 「負けられねえんだよ! 俺は―――――ッ!?」 決意の咆哮、誓いの雄叫び。 諦めを踏破した反逆の決意。 今この現状で勝てないというのなら、更なる力を欲する。 絶対に負けられない以上、ただ只管に欲し、願い、掴み取る。 力を、勝利を! その為になら――― 「……いらねえ……もう、何も……いらねえ!」 ―――命すら! その瞬間だった。 カズマの更なる力を欲する、命を代価に差し出すことすら厭わぬ願いに天は応えたのか。 再びの虹色の粒子を発生させ、大地を天を揺るがさんばかりの気合を込めた咆哮を発しながら“シェルブリット”が彼の右腕へと顕現される。 だが駄目だ、これだけでは足りない。 まだ必要、まだまだ力が必要。 そして引っ張ってくるには―――まだまだ力はある。 だから、 「ウォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 貪欲なまでの力を欲する獣の咆哮は、その虹色の輝きを黄金へと変質させ、それだけでなく、 「!? そんなっ!?」 目を見開き驚愕の叫びをなのはが思わず上げてしまったのも無理は無い。 何せ彼女の眼が目撃したのは、今までに見たことの無い信じられぬモノ。 カズマの右腕を覆う“シェルブリット”。それが右腕だけでなくもう一方の左腕にまで現れたからだ。 信じられない光景……更なる形状の変化……否、これは『進化』か。 兎に角、土壇場でカズマは無理矢理に限界の先の力まで引っ張り出してきたのである。 だがそれは……… 「駄目だよ、カズマ君! それ以上力を使ったら君の身体が!」 アレは駄目だ。彼自身の身体にとっても危険すぎる。 先の再隆起の時にも感じたが、アレは人間の力で振るうにはあまりにも大きすぎる。 今のカズマの身体では、その負荷に耐え切れるとは思えない。 このままではアルターに逆にカズマ自身の身体が侵食されてしまう。 そんなこと……させるわけには、いかない。 決意を込めて、彼を止めようと動き始めたその瞬間だった。 その輝く両腕をしっかりと握り、拳を固めたカズマが咆哮を発しながら凄まじい勢いで跳躍、こちらへと向かって突撃を敢行してくる。 相手の勢いと発する気迫、そして速度がなのはに回避を間に合わせない。故に彼女が選んだのは自身の頑丈さを信じた防御。 カートリッジロードを用いて形成したプロテクション・パワードが迫るカズマの右拳を受け止める。形状そのものは変わらぬ筈のソレだが、打ち込む事に勢いや威力が確実に上がってきていることをなのはは実感した。 だがそれでもまだ押し負けるわけにはいかない、その意地と魔力を込めて強度を上げた障壁でかろうじて未だその拮抗を維持する。 ……そう、右拳だけならばまだ拮抗は辛うじて可能だった。 しかし、今の彼にはもう一方――その驚異的な『進化』にて引き出した左拳が残っている。 なのはとてそれを忘れていたわけでも注意を払っていなかったわけでもない。しかしながら、右の拳だけを受け切るので精一杯であったというだけのこと。 そしてそれは高町なのはの側の都合に過ぎず、相手――カズマには一切の関係が無いこと。 元より眼前のこの女を斃すためだけに引き出してきた力だ。躊躇いや気兼ねなど抱く必要性すらない。 ―――故に、 「吹き……飛べぇぇぇえええええええええええええええええええ!」 右の拳に重ね合わせるかのように、もう一方の左の拳もまた雄叫びと同時に障壁へと全力で叩き込む。 黄金の輝きを増す両拳は難攻不落の代名詞であるはずだった桜色の鉄壁に、遂に崩壊の牙を突き立てる。 硝子細工を連想させるように、獣の両腕の打撃はあっけなくなのはのプロテクションを粉砕。それだけでなく貫通した打撃と衝撃はそのまま彼女へと叩き込まれ、弾丸のように吹き飛ばす。 ダンプカーとでも……否、もっと大質量の列車とでも衝突したかのような衝撃を叩き込まれながら、高町なのはは地面へとそのまま粉塵を上げる勢いにて叩き落される。 バリアジャケットを纏っていなければ即死だっただろう。遅れてやってきた痛みと衝撃が全身に走りのた打ち回りたいのを戦士としての鋼の自制心にて押さえ込みながら、レイジングハートを杖に何とか立ち上がる。 同時、数メートルの距離を取ってカズマが危なげもなく着地。両拳を合わせそれを威嚇するように示しながら再びこちらに向かって突撃してくる機を測っている様子であった。 愚図愚図していればすぐさま追撃が来る。それが理解出来ていたからこそ激痛と痺れが走る体に鞭を打ちながらなのははレイジングハートをしっかりと握り直して命じる。 「……レイジングハート、ブラスターモード――――リリース」 レイジングハートはその命に一瞬躊躇うかのような素振りを明滅にて示すが、しかしなのはは有無を言わさぬ気概にてそれを押し通す。 ……これ以上の負荷が危険な事は分かっている。レイジングハートの気遣いに感謝を抱いていないわけでもない。 だが今のままでは無理だ。エクシードのままではどうやら届きそうにも無い。 ブラスターは可能な限り使わない。事前にはやてにも約束していたがこの状況ではそんな事を言っている暇すらも無い。 たった一撃の被弾とはいえ、それだけで彼女は身をもって悟っていたのだ。相手の形振り構わぬ尋常ならざるその異常なまでの戦力強化を。 あれはただシェルブリットが左でも打てるようになっただとかそんな単純なレベルではない。根本的な引き出してくる相手の力の量が異常と言っていいまでに増えている。 ふざけたバランスブレイク、理不尽なシーソーゲーム、冗談のようなパワーバランス。 文句ならば幾らでも出てくるだろうが、得意の地力でまさかここまで上回れるとは思っていなかった。 今のカズマは恐らく聖王であったヴィヴィオを力で上回っているだろう。とんでもない状態である。 だからこそ、これ以上先のレベルで戦うためには、彼を止めるためにはもはや保身や出し惜しみ云々と言っていられる場合ではない。 ……どうやら、本格的に命を懸ける無茶を行わなければならないらしい。 命を代価に更なる力を引き出す為に、高町なのはもまたこの瞬間、諸刃の剣を引き抜いた。 ユーノ・スクライアは優秀な人間である。 若干十九歳という若さで管理局においても重要な役割を示す機関の一つである『無限書庫』、ここの責任者と呼んでいい司書長の役職に就いているのだからその辺りは察して然るべきものであるともいえる。 加え、人当たりもよく性格も穏やか、知的であり紳士的でもある。 これだけの要素を並べられれば、『こいつ何て完璧超人?』とでも言われて異性からは好意や興味、同性からは羨望や嫉妬を抱かれたり向けられたりしてもおかしくはない。 実際、顕著でこそない水面下での出来事ではあるが、ユーノ・スクライアがそのような感情の対象とされている事実が無いわけでもないのだ。 敵こそ少ない、というより本質が和に近い性分や性格のせいだろうが、嫉妬以上のマイナス方面での感情を向けられることは少ない。 だが逆に、好意……それも思慕に属する類の感情を抱かれているという事実は本人自身が無自覚なだけで多々あったりもする。 こう見えてユーノ・スクライア、隠れた優良物件である。 さて、そんな若きユーノ青年であるが、周りから見たらそれこそ勝ち組と言われても疑いないようにも思えるのだが、実は本人自身はそうは思っていなかったりする。 実の所、ことソッチ方面において彼は己を半ば負け組だとも思いかけており、それこそ内心で悩んでいることも多々あった。 ユーノを悩ませている原因……これは少々彼にとっては根深いものだ。 何せ十年、思えばそんなにも自分はこのある種の病と付き合ってきている。 ……そう、世間一般で言うところにある『恋の病』というやつだった。 延々と壁際の棚に並べられた本が支配する広大な円筒形の空間。 曰く、『世界の記憶を収めた場所』 ―――無限書庫。 ユーノ・スクライアはいつものように此処の責任者である司書長として、勤労に励んでいた。 十年前の『闇の書』事件を皮切りに、彼が編み出したある探索魔法が有効に活用された結果として、ユーノは管理局にスカウトされ此処で働くようになった。 勿論、自らの意志で此処に勤めることを決め、見る見るうちに頭角を現し若くして現在の地位に就くようになったのは彼が才能と共にそれを無駄にせず努力を惜しまなかった結果以外の何ものでもない。 此処の仕事がユーノに向いていたこと、これも大きいだろう。遺跡発掘を生業とするスクライア一族にとって探索というのは得意分野だ。それが遺跡だろうと本だろうと変わりはない。 此処の仕事は気に入っているし、充実感だって抱いている。若輩の自分を嫌な顔一つ見せずに立ててくれる優秀で気配りの出来る司書たちにも感謝の念を抱くことは忘れてもいないし、上司として彼らに慕われているという自負は多少なりともある。 現状、仕事においてこの十年、不満と呼べるほどの不満は特にない。殺人的な仕事量に関しては時折逃げ出したくなったりもするが、基本的に責任感が高い故にやり遂げるという使命感も持っていれば、自分も一端の高給取りである以上は仕方のないことだとも思っている。 そう、仕事面に関してユーノは不満を持っていない。ならば次に当然ながら思うプライベートではどうだろうか。 最近ではスクライアの生業である遺跡発掘にも個人的に着手でき、研究論文を学会に発表できそれなりの評価を受けられているという事実は嬉しい。 遺跡発掘も研究も行き詰っているというわけでもなく、これからどんどん興味深いテーマにも着手できるかと思えば心だって躍ってくる。 根っからの学者気質のユーノにとって、そんなプライベートもまた充実した日々だった。 ならば何から何まで順風満帆の道を万進しているように見える彼だが、悩みがないわけではないのだ。 ……そう、先にも触れたが彼は大きな悩み……十年来も患っているとある病がここ最近では再燃しかけてもいたのだ。 ……そう、恋の病というやつだ。 ユーノ・スクライアは高町なのはの事が好きである。 所謂LikeではなくLoveとしての好きである。 幼なじみである彼女に彼がそんな感情を抱いたのはいったいいつの頃からか。 正確には彼自身も分からない。きっと十年前に出会い、ジュエルシードを巡るあのPT事件からが切っ掛けになっているのは事実なのだろう。 ……尤も、ユーノ自身としても彼がそれに気づいたのは実はつい最近になってからの事だったのだが。 実際、ユーノにとってなのはは幼なじみであり、異性としては最も身近と言っても良い友人だった。 ああみえて体育会系な彼女と基本文科系の彼なのだが、話していると色々とウマが合うし楽しい。傍に居るとずっと居て欲しいと時に思うほどに安心感や安らぎも抱く。 同じ幼なじみであるフェイトやはやてにも友情は感じるのだが、なのはに抱くような思いが湧いて来たこともない。 八年前、彼女が再起不能になりかけた大怪我を負ったあの時。ユーノもまた酷く心配し、彼女を案じて自分までもが体調を崩して倒れかねない事態にもなりかけたこともある。 それが好きな女の子の安否を思ってのことだったのだということは今振り返ってみても自覚出来る事なのだが、当時のユーノはそれを罪悪感と責任感から生まれてしまったものだと思っていたのだ。 ……そう、なのはが大怪我を負ってしまったのは自分のせい。 自分が傍にいてあげられず、護ることも出来ず、無茶を当たり前のように行おうとする彼女の疲労を気付いても止めることも出来なかった。 ……否、そもそもそれ以上に元を糺せばなし崩し的であったとはいえ、自分が彼女と出会いこちらの都合に巻き込んでしまったのが原因だとも思っていた。 その原因であったにも関わらず、肝心な時に彼女を護れなかった。一番の友達であったはずの、自分を助けてくれたはずの、高町なのはを。 それが負い目となり、激務に追われる事も多くなったのも相まってか、彼女が何とか復帰した後にも微妙に距離を取った感じになってしまっていたのは事実だ。 疎遠になったとか仲が悪くなったとか、そう言ったわけではなく、ただ彼女と会うと嬉しく思うのと同時にどこか申し訳なく思う居心地の悪さを抱くようになっていたのだ。 このままではいけないとは思っていた。これでなし崩し的に彼女という存在が遠くなってしまうのではないかと考えれば、それは真剣に危惧すべきことでもあった。 何とかせねば、何とか状況を改善しなければと悩みながらも会う回数も少なくなり段々と時が過ぎていった日々のこと。 状況改善の切っ掛けは、それこそひょんな偶然から転がってきた。 考古学者の端くれとしてもそれなりの評価も貰える様になったある日のこと、オークションに出展される危険性の少ないロストロギアの解説役を頼まれてミッドチルダへと久々に訪れた時のことだった。 まさかそのホテルで護衛任務に就いていたのが他ならぬなのはが所属していた部隊だったのは何たる偶然だろうか。 ……否、後からこっそり聞いた話によればあの時に自分にこの話を持ってきたアコース査察官は実ははやてと協力し、手を回してこのような舞台が整うように手配していたのだという。 気の利いた粋な計らい、はやてには感謝してもし足りないことだとは自分でも思っている。 兎に角、あの時は自分も勿論彼女もまた偶然による久方ぶりの再会だと思っていたので、嬉しく思うのと同時に時が過ぎて自分の負い目の感情もそれなりに緩和したのか、思っていた以上に彼女とはすんなり話をすることが出来た。 関係の修復を成功し、直接見るのは実に久しぶりと言って良い彼女の笑顔を見た時に、不意に胸の奥が不規則に激しく、そして熱く高鳴ったのが不思議だった。 恐らくは、それが彼女へと抱いた恋と言う感情なのだろうが、その時には不思議と思えど自覚は出来ないままだった。 次にその感情の正体を知ることになった時、そこで漸く彼女に抱いてきたこの十年間の想いの正体が何だったのかは自分でも理解できるようになった。 ユーノ・スクライアにその感情を理解させる切っ掛けとなったのはある一人の少女だった。 名をヴィヴィオ……そう、後に他ならぬなのはが自分の娘として正式に引き取ったあの少女だ。 『見て見て、ユーノ君。この娘がヴィヴィオ、私の娘だよ』 まだあの公開意見陳述会が行われるよりも前、彼女が一応の責任者としてヴィヴィオの事を預かる事になった時の事だ。 なのはママと呼ばれ、フェイトと共にヴィヴィオに母のように慕われるのが嬉しかったのだろう、久方ぶりの近況報告を交し合った通信での際、なのはは嬉しそうにその少女を自分へと紹介した。 その紹介した時の彼女の言葉にユーノの思考が即座に停止し、胸の奥に物凄い衝撃を受けたことは今でも彼には忘れられないことだった。 私の娘、確かに彼女はそう言ってきて、画面に映っている少女もまた彼女の事をはっきりとママと呼んでいた。 ユーノとて流石にこの歳になってまでまさか赤ん坊をコウノトリが運んでくるのだとかいう戯けた冗談を信じていたわけではない。子供を作るということが男女間でアレをナニしちゃったりするという行為の結果として誕生するのだということも知っている。 女性一人では子供は産めない。無論、体外受精等の例外があるのは知っているが、正直先制攻撃のダメージが強すぎたユーノにそんな考えを抱く余裕も無い。 それどころか容姿からして人種も違うのが明らかだったわけだが、これもまたユーノがそれに気付くだけの余裕がなかった。 ただただその時のユーノは、立ち直るには相当に困難なダメージを受け、ノックダウン寸前だった。 なのはの娘、なのはの子供。つまりなのはが産んだという事。出産するには当然子作りをせねばならず、そして子作りとはアレでナニすることであり、しかもそれは一般的に男性とするもの。そもそも子作りも出産も愛がなければ普通はしない、なのはが愛も無しに誰かと子作りをするような女性だとも思えない、そもそも生みたいから生んだはずなのだから子供は文字通りその相手との愛の結晶。つまり、なのはにはそんな愛する誰かがいるのだということ。 ……そして残念ながら、それが自分でないことだけは明らか。 そこまで思考が思い至ったのと同時に、ユーノ・スクライアはショックで卒倒した。 ショック、そう物凄くショックだった。 今までであれと同じだけのダメージを受けたことのある経験と言えば、それこそあの八年前くらい。 またしても彼女のことで心揺さぶられることになったユーノは、それこそ頭を抱え込んで真剣に悩み……否、悲しがり悔しがった。 そう、悔しかった。それが何故かは分からない……否、分からないままでいたかったのだがもうそういうわけにはいかない。 ふとした切っ掛けで気付いてしまった己の本音をユーノ自身も誤魔化すことが出来なかった。 ……要するに、自分は彼女が好きであり、だけどその彼女が自分以外の他の男が好きだったというこの事実を認めたくなかっただけ。 これでも異性としては最も彼女にとって身近な存在であり、そして幼なじみとして付き合いも長く、重ねた時間や結んだ絆の強さはきっと誰にも負けていないと思っていた。 ……何たる驕りだろう。ただ今の関係が気に入っていてそれを壊したくなかったから、ただ気付かぬ振りをしてこれ以上は踏み込む勇気もなく逃げていただけだというのに。 格好をつけるなユーノ・スクライア。お前はただ言い訳を重ねて逃げていただけだ。負い目を理由に彼女と素直に向き合う事を放棄しただけ。 ただ逃げただけ、逃げ続けていただけ、自分の想いにすら嘘を吐き誤魔化し、けれど都合の良い過去からの積み重ねだけを支えにそれで安心を得ようとしただけだ。 その結果がこれ、彼女に想いを伝えるどころか気付いてももらえず、もう自分ではない別の誰かを選んで彼女は先に進んでしまった。 置いていかれた、取り残された……自業自得であり、そして酷く無様だった。 「……そっか、僕は負けたのか………」 正確にはそれにすら劣る。勝ち負けの云々ではなく自分は勝負の舞台にすら立っていない。顔も名前も分からぬ誰かを相手に、否、相手にもしてもらえずに勝負をするまでもなく自分は負けたのだ。 最低で最悪な、後悔以外は残らないような惨めな己の遅すぎる初恋の終焉を理解し、ユーノは一人隠れて悔しく泣き続けた。 「……それが誤解だったって知った時は、それこそ驚く以上に信じられなかったけどね」 苦笑を浮かべた独り言を深夜の誰もいない無限書庫内でユーノは漏らす。 今日も今日とて残業。相変わらず殺人的な過密スケジュールに仕事量。世の労働基準法に違反しているのではないかと思われそうなものだが、そこはクロノと並んでのワーカーホリックである彼の事、責任感と使命感は疲労は訴えても不満は訴えない。 「……なのはたちにも関わってくることだしね」 そう、ユーノが今請け負っている仕事の内容は機動六課が現在従事している任務にも関わってくる調査である。 期日までに資料を探索し纏め上げ、彼女たちにも理解し易い形で情報をフェイトにまで提供しなければならない。 まだ納期に時間はあるのだが、聞く限りでも現状の動向はどうにもキナ臭い事態となっているようであり早目に届けた方が彼女たちにとっても助かるはずだ。 「……こんな形でくらいしか、僕はもうサポート出来そうにもないしね」 探索や防御をはじめとした各種補助魔法のエキスパートと呼んでいいくらいの腕を誇るユーノではあるものの、元々が学者畑の人間であり戦闘は専門外。十年前のあの時のような活躍の方が彼にとっては例外中の例外と言って良い程だった。 それにあの時から比べれば、もはや戦場には一度だって立ってない以上、腕や勘が錆び付いてしまっているのは語るまでもなく明らか。 そもそも九歳の時点で当時素人だったなのはのサポートに回らざるを得なかった時点で、己の力量など誇れるようなものではないとユーノは思っていた。 誰かと争ったりするのも好きではない。戦いという形で他者に自分が勝てると素直に思えたこともあまりない。 ……それに正直に告白して、戦闘自体を怖いと思っているのも事実だ。 だからこそ、無限書庫で働くようになって以降、自分の特性を活かせる場に出会い、これが彼女たちを助けられる自分なりのやり方だと思うようになり、その為の努力も惜しまなかった。 此処に世界の全ての知識が眠っているというのなら、そしてその知識が少しでもなのはの戦いの役に立つというのなら、一秒でも早く正確で間違いのない情報を届ける。 同じ空で飛べず、遠くに感じるようにもなってしまった彼女との繋がりとして残る己なりのサポートをずっとユーノは続けてきたし、それはこれからもきっと変わらない。 「だからこそ、早く見つけ出して届けないといけないんだけど……」 現状、探索は上手く行っているとは言えず意気込みだけが空回りをしている感は否めなかった。 ユーノが抱えているのは六課から受けた仕事だけではない。日夜、激務に追われる本局の別部隊から優先度も高い依頼も引っ切り無しに舞い込んでいる。 司書長である彼以外にも優秀な人材は多くいる、が舞い込む案件数と人員数の絶対数を比べてみればそれでも火の車であるのは明らか。 だが司書長としての責任感や使命感は、それら他の依頼どれ一つ取っても決しておざなりにも投げ出すことも出来ないのもまた事実。 だからこそ殺人的仕事量、過密スケジュールの中で、他の仕事も平行しながらこうして深夜にまで及ぶような残業上等な状況がここ数日ずっと続いていた。 よく仕事を手伝ってくれるアルフなどからは、いい加減に休まないと倒れるぞと遂に今日の昼間に苦言を漏らされる始末となったが、苦笑を浮かべて曖昧にそれを誤魔化した。 「……それに確か、ヴィヴィオにも本を探してあげる約束をしてたな」 ふと思い出した大事な約束を取り敢えず忘れない内に済ませておくかと、作業の休憩がてらに現状の探索を中断、別の探索魔法をマルチタスクで併用し探索を掛けながら、お姫様のご所望たる本を見つけ出し、自分名義で借りておく。 明日彼女はやってくるはずだからその時にでも渡そうと思う。きっと喜んでくれるのではないかという少女の笑顔を想像して思わず自分の顔も綻びかける。 いかんいかんと首を振りながらも、しかし自分に衝撃を与え、本当の気持ちを気付かせる原因ともなった少女の事をユーノは嫌っていなかった。 むしろこちらを慕い好意を向けてくれる相手を嫌いになるほどユーノは人間として捻くれてはいない。惚れた女の娘であるというのは対応の距離感が掴み難い事実ではあるが、他意を抱いて接しようとも思えないのも事実。 「……きっと僕は彼女が好きなんだろうね」 無論、妹だとか娘だとかそう言った対象に向けるLikeである。間違ってもLoveを抱くほどにユーノとて剛の者ではない。 そう、これは娘に抱く愛情に近い感情なのではないだろうか。尤も、未だ二十年も生きていない若造たる自分が娘を持つ気持ちというのもおこがましいものなのかもしれないが。 まぁヴィヴィオの方からすればこちらはお友達感覚、良くても親切なお兄さんと言ったところか。 自身のママの真似をして、こちらの事を『ユーノ君』と呼んでくることは微笑ましい姿と見るべきなんだろうが、正直十以上も歳が離れた女の子に君付けされるというのもどうかとは自分でも思っているのだが、この呼称に関しては向こうも頑として譲ってくれない。 こういうところは母親譲り……本当に、血が繋がっていなかろうとも良く似た親子だとユーノは思う。 「……僕が入り込む余地なんて、無いのかな」 出来ればユーノお兄さん、否、ユーノパパと呼ばせたいのが密かな願望だったりするのだが、そもそも彼女の父親に自分が成れそうかと言えば今のところ可能性は限りなく低い。 何せ彼女のママ……なのはに自分の想いを伝えることすら出来ていないのだ。 「……結局、僕は逃げたままなのかな」 仕事の忙しさを言い訳に、彼女の都合もあると考え、今だって碌に会う事すらままならない。 会おうと思えば何とかすれば会う時間だって作れるだろう。この想いを伝えたいと思うなら勇気を持ってその時を逃さずに告げればいい。 だというのに…… 「振られるのが怖いから告白も出来ないなんて、本当に情けないな」 今の関係はユーノにとってもある意味ではベストであり、最も居心地がよいものであったというのも事実だ。 一番仲の良い友達の一人、近過ぎず遠過ぎず、適度な距離で互いを支えあうことが許される。 そんな今の状態が心地良すぎるせいで、一歩でも踏み込んでもし今の関係すらも崩してしまうのかと思えば……怖くて、どうしても二の足を踏んでしまう。 分かっている。これがどんなに卑怯で無様で情けないことなのかくらいは。 要するに、自分は我が身がやはり可愛いのだ。振られることで傷つくことを、寄る辺としている安らぎを台無しにしてしまうことが耐えられないのだ。 今のまま、今のままを保っていれば、なのはは傍にいてくれる。ヴィヴィオとだって良好な関係だって作れる。 別に男女の恋愛が全てじゃない。黙して語らず、秘めるだけの愛があったって別に――― 「―――違う、そうじゃない」 自分が考えた思いを否定するように、ユーノは強く首を振った。 そうじゃない、そうじゃないだろう、ユーノ・スクライア。 嘘を吐くな、誤魔化すな、逃げるな。 そんな都合の良い、高潔な考えを維持できるほどに自分は人間出来てはいないだろう。 ……そう、そんなもの無理だ。無理に決まっている。 少なくとも、ユーノ・スクライアの高町なのはへと抱く想いとしては適応外だ。 あれだけヴィヴィオの時に痛い経験と共に学んだというのに、今更また同じ徹を踏めるのか。自分を騙しきれるのか。 出来るわけが……ない。 なのはの隣に自分ではない別の男がいて、彼女がその男に自分には見せたこともないような笑みを見せる……それに耐えられるか? ―――否。 ヴィヴィオが自分以外の者に懐いて、その男の事をパパと呼び慕いながら、親子三人仲良く笑う姿を見て自分は耐えられるのか? ―――否。 周りの皆が全員、そのなのは達の事を祝福する中で、自分もまた同じようにおめでとうと祝福の言葉と笑みを本心から贈る事ができるのか? この気持ちに決着すらつけないで! ―――否、断じて否! 「……出来るわけない。出来るわけないじゃないか」 そう、出来るわけない。そんな負け犬になる姿を、それでも残っている自分のチンケななけなしの意地が許そうとなどしない。 決着も付けず、ただ惰性と臆病を理由に逃げ続けておいて潔く身を引くなどと言うことが本当にその場面に遭遇した時に出来るわけがない。 嘘で誤魔化し続けて、依存の対象にして、自分の都合だけで傍に居続けることが彼女への想い? 違う、断じて違う。そんなものはただの自己愛だ。 それでは自分がなのはが好きなのではなくなってしまう。それでは自分が本当に好きなのはなのはが好きな自分であるのと同じだ。 自己満足の捌け口でこの十年すら汚してしまうこと、彼女の側がそれでも疑わずに抱いてくれている信頼を裏切るようなこと……許されて、いいはずがない。 勇気を出せ、ユーノ・スクライア。 意地があるだろう、男の子には。 たとえ振られたとしても、ちゃんと選ばれなかったという勝負を挑んだ上での玉砕と、気付きもせずに逃げてばかりな結果による言い訳と、いったいどちらがマシかなど分かりきったことだろう。 本当に彼女が好きだというのなら、ハッキリと言えるだけの度胸を持て。 これは誰の為でもなく、自分自身が向かい合うべき戦いだ。 だから……… だから――― 僕は――― 「―――ユーノ君」 不意に名を呼ばれたことに気付き、ハッとなって慌ててユーノは背後を振り向いた。 職員は全て帰したはずの無人の無限書庫内で残っている自分以外にこの場所に他の誰かが居る筈が無い。 ましてや、先程の聞きなれたあの声は――― 「…………な…のは………?」 思わず呆然と信じられないような思いも顕に漏らした言葉。凝視する振り返った先に居る相手からユーノは目を逸らせない。 ……何で、どうして? そんな疑問が当然のように浮かぶのは当たり前、幾らなんでもこのタイミングでこの人物の登場はタイミングが良すぎるだろう。 それに彼女は現在あのロストグラウンドと呼ばれる大地に赴いている最中であり、此処に来れるはずなどないではないか。 彼女の事を考えすぎた余り、ヤバイ妄想まで形として見えるようになったのかとユーノは本気で疑いだしてもいた。 ……というより、本当に彼女は本物の高町なのはなのだろうか? そんな疑問が拭えず、彼女を凝視したまま立ち竦むユーノになのははいつものあの彼が最も好きな微笑を浮かべながら言ってきた。 「急にごめん。何だか会いたくなって……来ちゃった」 夢を、夢を見ていました。 それはとても荒々しく、激しく、そして悲しい夢でした。 夢の中のあの人はいつかのようにあの白い女の人と対峙して戦い続けています。 沸き出でる激しい感情……憎悪や憤怒に塗り固められた思いをその拳に込めて叩き込むように。 夢の中のあの人はとても強く、本当はずっと強いはずの白い女の人すら圧倒してその拳を振るい続けています。 きっと女の人は勝てない、わたしにもそれが分かる中ですら、けれどあの人を止める為に必死に手を差し伸べ続けています。 必死にあの人に呼びかけ続けています。 あの人の―――名前を呼んで。 けれどあの人の中にある憎悪や憤怒の感情は、もう収まりがつかなくて。 振り上げた拳を下ろす場所すらも何処にもなくて。 それが自分自身でも分かっているからこそ、もう目の前の女の人以外にそれをぶつけられる相手もいなくて。 悲しい……それがとても悲しくわたしは思います。 あの人がもう止まらない事に対して悲しく。 女の人の言葉が届いてくれないこともまた悲しくて。 やめて、やめて……もう、やめて! わたしが必死に呼びかけても、それも無駄なだけ。 わたしはただ見るだけの存在、見ていることしか出来ない存在。 本当に無力で、情けなくて、何も出来ない。 止めて……誰か、誰かあの人たちを止めてあげてください。 このままじゃ、このままじゃ、きっとあの人たちは――― ■■くんと■■■さんは――― 誰か、誰かお願いします! あの二人を、■■くんたちを――― 誰か、止めてあげてください! ……お願いします……お願い……します。 誰か……誰か……お願いだから、二人を――― 黄金の輝きを放つ獣の咆哮が、ロストグラウンドの大地を震わせる。 疾走と共に跳躍、空を翔ける魔法使いへと自身の自慢の拳たるソレを叩きつけんために迎え撃つ魔弾のことごとくを打ち払い、弾き飛ばしながら接敵。憤怒と憎悪、その他諸々の感情を上乗せした破壊の拳を持ってかの敵を粉砕せんと叩き込む。 対する魔導師――高町なのはにとってその直撃は文字通りの戦闘不能へと直結する結末。是が非でもその結末を覆さんとするのは当然の判断。 展開するバリアは黄金の拳の接触と同時に、その表面を爆発させる。 バリアバースト。 バリアの表面を魔力を操作して爆発させることにより対象を弾き飛ばす、攻性の防御魔法。 以前の戦いの際、バリアジャケットバージョンとも言えるリアクティブパージの経験があったとはいえ、相手の対応が受け止めることから弾き飛ばすことへと切り替わったその事実にカズマは忌々しげに舌打ちを吐く。 今更に表面上の見せ掛け程度の爆発に臆す必要も無ければ大したダメージなど負うことも無い。むしろ叩き潰せと自身を急かすこの衝動をこの程度の小細工で凌ぎ切れると思うなとすら感じる。 事実、なのはの心境もまたカズマがそう苛立ち抱き評価を下した通りのものではあるのだが、それでもその小手先の技術で何とか凌ぐのが現状で手一杯であったのは事実だ。 猪突猛進自体は相も変わらずだが、勢い威力とも最前までの比ではなくなれば、手の打ちようすら無くなるほどの脅威となるのも事実、この押され続けている現状がその証明であったこともまた間違いない。 既にブラスター2まで解放しているにも関わらず、発する力の差は刻々とその溝を深めるばかりだ。フルスロットルのギアを踏み続けているのは互いに変わらぬはずなのだが、やはり馬力は向こうとこちらとでは桁違いの差があるらしい。 ブラスタービットがカズマを拘束するようにその周囲を旋回、発生したバインドにて動きを縛るもまるで枷にもならぬように次の瞬間には引き千切ってくる。 だが拘束を破るその一瞬、そこを狙うように叩き込む魔弾の数々……ショートバスター以外では相手の猛攻にバスターでは対応が間に合わないのでこうした戦法を取る他に無い。 しかし小手先の攻撃が通用するような相手でないのは既に何度も戦闘を繰り返し証明済みでもある。これが焼け石に水でしかないのもまたなのはとて承知の上だった。 それでも現状、場を凌ぎきる手段としてこれしかない。迫り来る豪腕の猛攻を必死に潜り抜けながらも、徐々にジリ貧に追い詰められているのは明らかではあった。 何とかしなければならない。百戦錬磨の魔導師としての思考がなのはの中で目まぐるしく対処法の数々を検討していくが実際に有用と判断されるものが一向に出てこない。 ……否、出てきてはいるのだがそれが間に合わないのだ。 「がぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」 型も何も無い力任せの大上段からの拳骨に近い打撃を繰り出してくる右拳の側に向かって素早く避ける。反対側に空いた左の豪腕を回避先に受けないための処置だったのだが、しかしなのはの予測を遙かに超えた追撃をカズマは敢行してきた。 振り下ろした右拳がかわされることも、左拳の範囲外である右側に回避することも予想していたのか……否、単純に出鱈目な身体能力に物を言わせたのだろう。 空を切る拳の勢いをそのまま利用しながら体を捻るカズマ。そのまま独楽の様に回転した勢いをつけてリーチを伸ばした左のバックブローが間髪入れずに迫る。 咄嗟に後ろへと飛び前面に障壁を展開するも、しかし圧倒的な物理的破壊力はそれらを物ともせずになのはを吹き飛ばす。 ハンマーで殴られる方がどれ程にマシかと思える激痛と痺れが全身に走っている事実に顔を顰めながらも、即座に態勢を立て直すと共に迎撃態勢を取る。 格闘に関しては生来の運動オンチとも相まってなのはとて所詮は素人に毛の生えた程度の技量と知識しか無い。……が、同じように格闘技など修めていないにも関わらず無茶苦茶な喧嘩殺法を実現できる異常な身体能力が向こうにはある。 加え、どう攻め、どう動けば対象を落とすことが出来るのか、勢いと共に本能的な部分でカズマはそれを理解している。 研ぎ澄まされ、爆発力が増す一方の相手の攻めは段々とこちらの対処や予測を上回ってきているのだ。 二手、三手とその凌ぎきれた範囲を次の激突では一足飛びに超えてくる……まさに戦いの中で成長していく闘争の悪鬼とでもいったところだろうか。 高町なのはが積み上げてきた、研ぎ澄ましてきた戦闘理論、戦いにおける布石や絡め手の数々……小賢しいとばかりにここまで一蹴されてしまえばもはや悔しさすら沸いてこない。 ……見事だ。彼は本当に強い。そう素直になのはとて認めている。 だがそれでも――― 「―――それでも、今の君にだけは負けられない!」 命をかなぐり捨て、完全燃焼すらも辞そうとしない、未来など見ずにこの瞬間に果てようとする一匹の獣。 高町なのはにとってそれは絶対に負けるわけにはいかない相手だ。 ましてや少女との約束が、親友の引止めを前にしても止まらなかった、今のなのはの貫こうとしている信念からすればそれは尚更の事。 故に――― 再び迫る豪腕の猛攻。 それをギリギリで掻い潜りながら、忍ばせていたブラスタービットを展開。 クリスタルケージが檻となりカズマを閉じ込めたと同時にフラッシュムーブで瞬時に距離を取る。 次の瞬間には豪腕一閃にてクリスタルケージを粉砕して飛び出てくる獣へと、既にカートリッジロードを済ませたレイジングハートの照準は定まりきっていた。 しかしそれは散々その身で喰らってきた獣からしても既に予想済み。であるにも関わらず、躊躇うことなくそのままその射線上を直進しての突撃をカズマは躊躇わない。 「ディバィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイン」 不屈にして無敵、己の代名詞とも言えるこの十年の全ての戦いの中で磨き、詰め込んできたものを相棒の魔法の杖、その先端に収束して解き放つ。 「シェルブリットォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ」 意地にして誇り、反逆という己の生き方の全てを詰め込んできた自慢の拳たるその両腕。ソレを以って眼前の壁を完膚なきまでに粉砕する。 どちらにとっても退けはしない、後など無い事を分かりきった一世一代の正念場。 負けるわけにはいかない、眼前のこの相手にだけは! 共通するその想い、信念を用いそれを解き放つ為に――― 「バスタァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 「バァァアアアアアアアアアアアアストォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 いつかの邂逅の焼き直しとも言える、桜色と黄金の再激突が始まった。 回避など無い。防御も無い。 注ぎこむは全力、この一撃にありったけの信念と意地を込めて。 迫り来る今まで散々にこちらを蹂躙してきた桜色の極光を前に、カズマは黄金に輝くその自慢の両拳を突き出すように突撃する。 拳どころか全身すらも覆う光の渦の中、激流に問答無用で流されるかのような体験を擬似的に感じながら、それでもカズマは拳を決して下げることなく光の渦を切り裂くように進み続ける。 前へ前へ、只管に前へ。 後も先も、未来も何もかも関係ない。この戦いの先に例え死が待っていたとしてもそんなものすら関係なく。 躊躇すら抱かず、恐れなど無論のことあるはずもなく。進む、ただ只管に進み続ける。 もはやこの道しか無い以上、この道しか残されていない以上、ただその上を駆け抜け続ける。迷うことなく、最速でだ。 いつだって、どんな時でも、誰が相手であろうともそれは変わらなかった。ならば今回だってそれは同じ。 故にこそ――― 「てめぇにだけは………絶対に負けねぇッ!」 こちらにアイツを思い出させる、アイツの面影を纏わりつかせる、アイツの思い出を穢すこの女にだけは! 例え死んだって負けるわけにはいかない。 だからこそ――― 「今日こそ……てめぇを………斃すッ!!」 今この場所で、立ち塞がる壁を粉砕する! 全身全霊の一撃。最大出力を以って繰り出した魔砲の一撃。 だが黄金に自身を輝かせた獣の勢いはそれすらも切り裂かんと徐々に迫ってくる。 最初の激闘、その幕引きとなった最後の一撃をぶつけ合った瞬間がなのはの脳裏に蘇る。 ……このままでは、負ける。 直感的にそれを悟った。理屈云々を抜きにした数多の戦場を駆け抜けた彼女の中の本能がその未来を垣間見させたといってもいい。 だがだからといって、否、尚更にこそそれを簡単に受け入れるわけにもいかない。 負けられないのはこちらも同じ。退けないだけの信念が、意地がこちらにもある。 何よりも背負った想いが、なのは自身が彼へと伝えたい言葉がその敗北という現実を引き寄せることを認めようとはしない。 「女の子にだってね―――意地があるんだよ!」 その宣戦布告にも似た叫びと同時、なのははあのゆりかご戦以来禁じてきた最後の封を解き放つ決意を固めた。 無茶を承知で、それが己の信念に反することだとしても……ここで負けてしまっては意味が無い。 今ここで彼に勝たなければ、彼を止められなければ、彼を相手にぶつけてきた今までの己の全てが無となってしまう。 それだけはノゥ! 断じてノゥ! 絶対にノゥだ! だから――― 「レイジングハート―――ブラスター………3ッ!!」 敗北というその運命に―――反逆する! 体内のリンカーコアが焼ききれんばかりに稼動、濃縮され搾り出されてきたありったけの魔力の全てをレイジングハートへと注ぎ込む。 桜色の極光の渦……それが更なる輝き、その勢いと威力を増して解き放たれていく。 更に勢いを増した極光の猛攻。 問答無用でそれを切り裂き、それを発射している相手までもう少しといった所で、遂にソレに押し返され始める。 激流の中で足を釣って溺れてしまったかのように、吹き飛ばされるようにドンドンと後ろへ後ろへと追い返されていく。 突き出す自慢の拳、その黄金の両腕すら遂には耐え切れないかのように亀裂が走る。 カズマにとっての唯一の拠り所、誇りが今砕かれんとしていた。 その現実、その敗北を認めることなど………ああ、断じて出来るはずなど無い。 喉を裂けよとばかりに咆哮。もはや木々すらざわめかすだろう絶叫に近いそれを腹の底から勢い良く放出しながら、しかしカズマは逆にどんどんと取り入れようとしていた。 此処ではない何処か。明確なイメージが出来るわけでもなければ、理屈だって無論の事ながら説明できない。名称すらも分からない、そんな訳の分からぬ意味不明な空間。 だが其処にはあった。カズマが求めて、欲してやまないそれが、まるで際限など無いと言うほどに莫大に。 ―――そう、『向こう側』と呼ばれるその場所にはカズマが求める”力”が確かに存在していた。 チャンネルを繋げるように、さっきも出来たのだからもう一回だって出来るだろう。そんな理屈を前面に押し出しながら無理矢理に引っ張り出そうとする。 命すら惜しまずに貪欲に、体を蝕む痛みや不快感の一切を無視したように只管に。 そう、もっとだ。もっと、もっと、もっと! もっともっともっともっともっともっともっと! 限界など定めるな。例えそんなものが仮に存在したとしても問答無用で叩き潰せばいい。 叩き潰せない壁など存在しないのだ、そう言い張るかのようにもっと上があるだろうと、アイツを超える力があるはずだと。 只管に、ただただ只管に―――引っ張り出す! 大気を震わせるような絶叫を最後の足掻きとでも言うようにカズマが搾り出した次の瞬間だった。 先程のシェルブリットを左腕にも纏った時と同様と思われる虹色の光の収束と、その終了と同時に輝きだす黄金の光。 桜色の極光の中に身を置きながらも、陰る事も無いと言わんばかりに全身よりそれを発し、覆う彼の姿に変化が発生する。 「―――なッ!?」 思わず信じられないと息を呑んだ叫びをなのはが上げたのも無理なきこと。 己が魔砲の砲撃、それに吹き飛ばされようとしていたカズマの全身を突如として覆っていくその変化を目にしてしまったのだから仕方が無い。 押し負けて砕け散ろうとしていた両拳へと纏っていたシェルブリット。それが再生するかのようにその損傷を修復していったかと思えば、今度は腕だけに留まらずに彼の全身へとそれは覆っていくのだ。 その形は猛々しい彼の獣としての性を象徴としたような獅子を模した鎧。弱肉強食の大地において獣の王として君臨する彼の闘争本能を形としたものなのか。 兎も角、あれもまた彼のアルターたる”シェルブリット”。恐らくはこれにて最後と思いたい更なる『進化』を遂げたその姿と言う事だろうか。 どちらにしろ、一目見た瞬間に驚愕と同時になのはの背にそれは戦慄を走らせた。 黄金の獣は猛る様に、その咆哮と共に再び押し返されかけていた勢いの中で、それを巻き返すかのように瞬時に再び魔砲を切り裂きながら進んでくる。 先程までの比では無い勢い、発し叩きつけてくる圧倒的なプレッシャー。 それでも胸に抱く不屈の信念が高町なのはに敗北も撤退も許さじと、ありったけの力を砲撃に込めさせる。 しかし――― 「―――これが!」 勢いは止められない。絶望的とも言っていい、理不尽なまでの侵攻をもって遂に彼女のいるその前まで相手に到達を許してしまう。 「俺の……自慢のッ!」 桜色の砲撃を突っ切り、あの時と同じように眼前へと拳を掲げてみせる獣の姿。 回避も防御ももはや間に合わない。……否、そもそも相手が今繰り出そうとしている一撃を前にすればそれら全てが無駄な行いでしかないことは明らかだろう。 ………私、負けちゃったのかな? やけにスローモーションにも感じられる繰り出される拳が己の身へと到達するまでの刹那の時になのはの脳裏に漠然と過ぎったのはそんな思考だけだった。 「拳だぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」 瞬間、その雄叫びと同時に堰き止められるかのように停滞しているかに思われた時間が急速に元へと戻ってくる。 咄嗟に障壁を展開しようと腕を前へと出す。だがそれすら粉砕して障壁を砕き、それどころかそのまま前へと出した腕までもが嫌な音を立てて拉げていくのを呆然と見ているしかなかった。 痛みや熱さを感じる以上に、それら全てを先んじてすっ飛ばした物理的な衝撃が己の身へと叩きつけられ吹き飛ばされるのを感じて、高町なのはの意識は断絶した。 「……負けちゃったね」 目の前で苦笑と共に告げてくる幼い少女が示したその結果に高町なのはが答えるべき言葉は無かった。 負けた……敗北。確かにその通りかもしれない。 全力全開、全てを出し切って望んだ一撃を持ってしても、不敗を誇った己が無敵の砲撃を用いてすら相手にそれを上回られた。 言い訳はしない。ベストは尽くしたなどと言い逃れる気もない。 自分は負けた。結果的に彼を止めることが出来なかった。 「……悔しいの?」 「……うん。凄く悔しいね」 負けたこと……それもあるが少女の言葉になのはが答えた悔しさとはそれとはむしろ別種のものだ。 彼を止められなかった。暴走し、己も他者も傷つけ続ける彼を止めることが出来なかった。 彼の心を護ってあげられなかった。彼を助けてあげられなかった。 由詑かなみの願いを叶えてあげることが出来なかった。 「……悔しい。うん、凄く………悔しいよ」 少女を前にしてみっともなく涙を流す己の姿を自覚できればこそ、尚更に今の自分は惨めであり無様すぎた。 エースオブエースの称号も、英雄と持て囃されたその功績も。 たった一人の男の子を救うことも出来なければ彼女にとっては何の意味も無かった。 何の為にスバルに大見得を切り、クーガーの庇護の下から飛び出し、はやてを説き伏せてまで彼の元へと向かったのか。 向けたくもない魔法を向けてまで、傷つけたくない相手と争ってまでそれでも戦おうとしたのか。 皆に顔向けも出来なければ、支えてくれていた、護ってくれていた想いまでをも無駄な結果になってしまうではないか。 嫌だ……ああ、そんなのは嫌だ。 それは許容できない。納得できない。 誰かが傷つくのを見るのが嫌だった。 誰かが泣いているのを見るのが辛かった。 そんな人たちに何もしてあげることのできない自分が我慢ならなかった。 だからこそ、だからこそそれらを覆すことの出来る力を手に入れた時、嬉しかったのだ。 ―――魔法。 それは子供の頃に憧れた、御伽噺に登場するような万能の力でも都合が良いものばかりでもなかった。 けれど何も出来ない、何も無かった高町なのはにとっては初めて手に入れられた自分を変える事の出来た確かな切っ掛けでもあったのだ。 『なのはちゃんにしか出来ない事、きっとあるよ』 その言葉通りの、己の不確かだった未来を確かなものへと切り開いていくことの出来た力。 自分の想いを通すことの出来る、護りたい人たちを護ることの出来る力。 何処かの誰かの未来を、幸せを、笑顔を護ることが出来るはずの力。 ずっとそう信じて、そうやって使うために戦い続けてきたはずだった。 けれど――― 『まぁハッキリ言ってしまえば―――なのかさん、あの馬鹿に貴女の声は届きません』 結局は、そのクーガーが予期した通りの結果がこれだった。 伸ばした手は届かない。かけるべき言葉も聞いてもらえない。 こういう事態、結果が初めてというわけじゃない。今まで管理局員として戦い続けてきたこの十年、似たようなケースはそれこそ幾らでもあった。 本当にお話をしたいのに、そうすることも出来ない、拒絶を示される。 世界がそんなにも都合が良くないことも、優しさばかりで救いが絶対にあるばかりでないことも分かっている。 自分のやっている事が一方的で、相手からすれば見下すに近い物言いだと反発を受けたことだって何度だってある。 だがそれでも、そうだとしても――― 「……けどね、それでも助けてあげたいって思うことは間違ってるのかな」 どうしても見ていて放っておけない。知らぬふりでは済ませられない。 大きなお世話、手前勝手な易い自己満足……これらが全て偽善であることくらい分かっている。 だがたとえそうだとしても、これが他者から見れば偽善に過ぎない鬱陶しいだけの行いだとしても。 「……助けてあげたいんだよ。傷ついてばかりの生き方なんて……そんなの辛すぎるよ」 痛みはいずれは慣れるもの。流した涙もいずれは乾き、感覚だってどんどん鈍くなっていく。 だがたとえそうであったとしても、傷口からは血が流れ続けていく。 それはたとえその流す本人が無自覚であろうとも、きっと痛くて辛いはずなのだ。 それを感じられなくなってしまうことこそ、一番悲しいものだとなのはは思う。 痛むものに痛みを感じられなくなること、苦しいのに、辛いのに、それに耐える事しか出来ない、それしか知らないこと。 それは一番見ていて放っておくことなど出来ないものだ。 そう、かつてフェイト・テスタロッサと出会った時にそう思ったように。 今のカズマは彼女と同じであり、そして同時に過去の自分だ。 誰にも助けてもらえなくて、助けてもらうということも知らずに、ただひとりぼっちで耐えるしかない、そんな子供。 高町なのはに目に映る、怒りに猛る獣の姿と本質はまさにそれだった。 だからこそ――― 「助けてあげたいんだ。彼を、彼らを……カズマ君とかなみちゃんを助けてあげたい」 この大地に自分が来たことの意味の中に、役割としてそれがあると思った。 不屈の魔法使いとしての意地が、信念がそれを貫けと自分に言ってくる。 「じゃあその為に、まだ立ち上がるの?」 少女が疑問も顕に尋ねてくるその言葉になのはは涙を拭き、そしてしっかりと頷いた。 何度振り払われようが、それでも手を伸ばす。 何度でも届かせるように、想いと言葉を投げかける。 何度でも―――そう、彼の名前を呼んで。 「本当にお節介で、大きなお世話な魔法使いだね」 そのなのはの決意に少女―――十年前のかつての自分は呆れたように告げてくる。 なのははそれに苦笑を浮かべながら、ごめんと謝る。 彼女がこの先に駆け抜ける結果、その末路とも言える自分がこれから先を信じている小さな自分の前でいつまでもいじけてはいられない。 だからこそ、今はハッキリと彼女へ向けてなのはは告げる。 「勝手でごめん。―――けど、これがやっぱりわたしだから」 十年前、己で悩み、それでも信じて進むと決めた道。 何処かの誰かの未来と幸せ、そして笑顔を護る魔法使い。 最後まで何度叩きのめされようと、負け続けようと、拒絶されようと、否定されようと、それでも変えられない。変えてはいけないとそう思う。 だから――― 「負けちゃ駄目だよ、未来のわたし」 「うん。私は負けないよ―――絶対に!」 今再び、この翼をもって舞い上がろう。 勝った。遂に、打倒した。 「はは……ははは………はははははははははははっ!」 痛快だ。最高だ。その事実を、歓喜を顕に勝ち鬨の哄笑を示す獣。 散々苦渋を舐めさせられ、虚仮にされ、立ちはだかってきた壁。 それを今この瞬間、遂に打倒してやったのだ。 「……勝った……勝ってやった……なぁ、俺の勝ちだぞ、君島ぁ!」 ちゃんと見ていたか? 俺は護った、護りきったぞ。 お前の生き様を、信念を、俺たちの意地を。 この拳一つで、確かに護りきった。 「これだ、これだよ、この力だ!」 そう、この力だ。この力さえあればいい。 もう何も奪わせない、何も傷つけさせない。 虚仮になどさせない、見下させなどしない、立ちはだかせなどしない。 俺が傷つけ、俺が奪う―――俺だけの力! もうこれだけでいい。これさえあれば何も要らない。何も欲しくない。 欲しいものがあるならば、この力で奪い取ればいい。 気に食わない奴がいるなら、この力で叩き潰せばいい。 そう、それが出来る。今の自分にならば造作も無く可能だ。 「だって俺が一番強い……ああ、俺が強えんだよ」 弱肉強食、その理が示すとおりに、王者として君臨してやればそれでいい。 力を持った奴が偉いのだから。勝った奴が一番正しいのだから。 そして自分はそれに全て当て嵌まっているのだから。 だから――― 「………カズ…マ……く…ん………」 その時だった。消え入りそうなほど小さく掠れた、けれど聞き逃すことも出来るはずもない忌まわしい声を耳が拾ったのは。 それこそカズマは信じられぬと言った様子でその視線を、声が聞こえた方向へと向け直した。 「………テメエ……ッ!?」 口汚く罵る言葉も、戦慄く身体を無く、ただただ憎悪に焦がされた感情を握った拳へと溜め込みながら、獣はその相手を睨み据える。 先程、自分が確かに打倒したとそう確信したはずの憎き仇敵のその姿を。 夢を、夢を見ていた気がした。 『マスターッ!?』 「……うん、大丈夫……大丈夫だよ、レイジングハート」 相棒からの気遣う言葉に無理矢理に平気な表情を浮かべようと努めながら、まだやれるとその意志を魔法使いは己が杖へと示した。 「……夢を……夢を、見ていたんだ………」 本当なら口の中から血塊でも吐き出してしまいたい程に、身体に激痛も走っていれば、気分も最悪だが、それでも不思議と紡ぐ言葉をやめられなかった。 「夢の中の私は……昔のわたしと出会ってて、わたしの言った指摘に……情けないけど私は泣き言を漏らしちゃって……」 『………マスター?』 主の要領を得ないその意味の分からぬ呟きに、デバイスは主の身に真剣な危惧をもまた焦りと共に抱いていた。 予想以上の相手の戦力。バリアジャケットやプロテクションを物ともしなかった相手の打撃。左腕はもはや使用どころか見るも無残に破壊され、叩き込まれたダメージもまた即死でもあってもおかしくなかった威力。 今の現状きっと誰が見たとしても、高町なのはの戦闘続行は不可能と断じても良かった。 むしろこうやって、意識を取り戻してかろうじてとはいえ立ち上がっていられる状態の方が奇跡である。 「……でもね……それでも私は、やっぱり諦められなくて、諦めちゃいけないとも思って………」 加えてこの奇妙な言動。正常な判断力が彼女に残っているのかすら、レイジングハートからすれば正直疑わしかった。 だからこそ、主を支えるデバイスとして、彼女の相棒、戦友としてレイジングハートに具申できる案は一つしかなかった。 『……マスター、此処は一度撤退を』 既に勝敗は決した。悔しい……デバイスである己の身がこのような感情を抱くこと自体がおかしく、或いは錯覚なのかもしれないが、それでも今はそれを押し殺してでも選ぶべき選択こそがそれだと判断した。 このままでは主は殺される。無論、そのようなこと断じて許せるはずもない。だからこそ、ここは無念だろうとも再起の可能性を信じて退くべきだ。 此処から先は無茶でもなければ蛮勇でもない。それにも劣る、単なる自殺行為にしかならない。 なのはを死なせるわけにはいかない。主を護るデバイスの責務としてレイジングハートはそれを遵守しなければならなかった。 しかし――― 「……駄目だよ、レイジングハート。……ここは逃げる場面じゃない」 しかしレイジングハートからのその忠言に対しても、高町なのははそれを否定するように首を横に振る。 当然、レイジングハートからすれば受け入れられるはずもない。なのはの無念は承知の上だが、それでも今は撤退以外の選択肢を彼女に取らせるわけにはいかなかった。 だからこそ、説得するために彼女が反論を許さぬよう畳み掛けるレベルの言葉を投げかけようと言葉を発しようとするも――― 「……ここで私が逃げ出したら、今のカズマ君を誰が助けるの?」 『しかし、マスター!』 「……ここで彼を止めなくちゃ、彼はもう、戻ってこれなくなる。永久にひとりぼっちになっちゃう」 そんなものは駄目だ、駄目なのだとなのはは首を振る。 レイジングハートから見れば主のそれは聞き分けのない子供の我が儘も同じ。怒鳴りつけてでも覆さなければならない、度し難い愚者の選択だ。 命を溝に捨てるようなもの……彼女が最も許さないはずの無茶そのもの、否、それにすら劣るものだ。 一心同体を誓った身であれど、これとそれは明らかに別のはずだ。 だからこそそれを何とか覆そうと論破へとかかろうとするも…… 「レイジングハート――――――――お願い」 ただ一言、主からのそのたったの一言に、レイジングハートは二の句が告げなかった。 その一言、その言葉はレイジングハートがレイジングハートであるために決して無碍には出来ない、自身のアイデンティティにも関わる言葉でもあったが故に。 ……そう、あろうことか主は彼女の願いを叶える魔法の杖を自負するこの身へとその言葉を言ってしまったのだ。 「お願い」と……。 『……卑怯です、マスター。それを言われたら私には返す言葉が無いではありませんか』 不屈の魔法使いの願いを叶える魔法の杖。 それがレイジングハートの自身へと課した本分、その存在意義。 主が願うその未来を、自分の及ぶやり方で手助けをして叶えるのがレイジングハートがこの十年にも及ぶ日々の中で誇りともしてきたこと。 万能ともほど遠い、出来る事に限りがある身であれど、それでもこの少女の為に力を貸し、戦い続けてきたという忠誠の形。 デバイスとして……否、魔法の杖としての誇りがあればこそ、尚更にその一言には逆らえない。 「……うん、ごめんね………レイジングハート」 それを恨み言としてぶつけられたからこそ、告げた本人たる高町なのはもまた理解している。 そしてレイジングハートが断りきれないことを承知の上で、あえてその一言を言ったのだから。 ……確かに、これは卑怯であり最低だろう。それを言い訳にする心算はもはやなのはにもない。 だがそれを選んだ責任として、貫き通すことを誓った決意として、撤退を選べない以上は無理矢理にでもこう言うしかなかったのだ。 『……謝るくらいなら、最初から言わないでください』 「……うん、そうだね。……本当に、ごめんなさい。でもそれ以上に―――」 ―――ありがとう、私の魔法の杖。 嘘偽り無き感謝を込めて、この共に戦い続けてくれた十年分の想いも上乗せして、高町なのははレイジングハートへと、そう感謝の言葉を告げた。 レイジングハートはそれに言葉を返さない。返さずとも充分だということは自分も……そして主もまた理解をしていたのを知っていたから。 そう、もはや言葉など不要だ。 この十年、言葉などでは言い尽くせないだけのものを互いで積み重ね、駆け抜け続けてきた主従関係だったのだから。 故にこそ、己もまた覚悟を決めようとレイジングハートはその決意を固めた。 この身はデバイス……否、不屈の魔法使いの願いを叶える魔法の杖だ。 たとえ相手が怪物のような格上の相手だろうが一歩も退かない。 この身砕け散るその瞬間まで、ただ只管に主と共に戦い尽くそう。 出来る出来ないではない、やるのだ。 アルターだか何だか知らないが……あまり魔法少女の魔法の杖を舐めてくれるな。 「行くよ、レイジングハート!」 『All right, my master.』 そして―――不屈の想いはこの胸に。 ……何故だ、何故倒れない? 圧倒的な力の差を見せつけ、蹂躙と呼んでも過言では無いだけの猛攻を受け、既にボロボロと化しているにも関わらず。 どうして、どうして眼前のこの女は倒れない? どうして、どうしてそのムカつく眼が絶望や後悔に染まらないのか? 強いのは俺だ、圧倒しているのは俺だ、負けていないのは俺だ。 だというのに……だというのに…… どうして――― 「何で……テメエは倒れねえんだよォォォオオオ!?」 しつこいとかしぶといとか、そんなレベルではない。 甚振って苦しめるとか、そんな考えはとうに捨てて今は殆ど倒す心算で攻撃を叩き込んでいた。 だというのに倒れない。地に叩き落しても直ぐに立ち上がり迫ってくる。 不気味……そう、それはあまりに不気味だった。 「しつけえんだよッ!」 その眼……こちらをまるで憐れんでいるかのようなその眼が気に入らない。 勝手に枠へ嵌めこんだ不幸とこちらを憐れんでいるかのような態度が気に入らない。 何処までいってもどれだけいっても、決して変わらない相手のその姿勢。 お門違いの救世主気取り……ッ! 「舐めんのも……大概にしやがれぇぇぇえええええええッ!」 故に許さない、許してはなるものかと拳を振るう。叩きつける。 この女を、この目の前の壁を、二度と立ち塞がれぬよう、完膚なきまで粉砕する為に。 自慢の拳をただ一心にて叩き込む。 小賢しい障壁など微塵も介さず、どれだけ強固に固めようが杖で防ごうが問答無用の拳の一撃が相手へと直撃―――吹き飛ばす。 白き魔法使いがその身を吹き出す赤へと染めながら倒れていく様を見て、今度こそと獣は己の勝利を確信する。 だが――― 「―――カズマ、くん………」 それでも尚、再び震える体に、マトモとは言い難きボロボロのその身へと鞭打ちながらそれでも女は立ち上がった。 彼の……獣の……己の名を、呼びながら。 他の誰よりも近しい、そして愛しい者だったはずの少女と聞き間違えるほどに酷似したその声で。 名前を……呼んでくる。 「――――――ッ!?」 脳裏に走った姿は、もう傍にはいない大切な誰か。 置き去り、そしてその結果として奪われた一人の少女――― 違う………こいつは、違うッ! その脳裏に浮かんだ少女と眼前の女を一瞬でも重ね合わしてしまった事実を否定するように、苛立ちと共に尾を振るい眼前の女を叩き飛ばす。 今の“シェルブリット”を纏ったカズマは、その姿通りに繰り出す全ての打撃がシェルブリットクラスの一撃を付加している。 尾の一撃とて決して例外ではない。叩き飛ばされ近くの岩壁にめり込みかねない勢いで叩きつけられながらも、それでも女は間を置くことなく立ち上がる。 ふらつく足元、立っているのが精一杯の、重傷と認識して良いほどに酷い姿を曝しながらそれでも――― 「………カズ…マ……く……ん………」 一歩一歩、遅々とした速度にも関わらず、血反吐を吐きかねない掠れた声でありながらも――― ―――こちらの名前を呼んで、歩み寄り手を差し伸ばしてくるのを決して止めようとはしない。 ……何だ、こいつはいったい何だというのだ? 分からない、自他共に馬鹿と認めているはずの自分ですら思わず馬鹿だと叫び出してやりたくなるほどに理解できない。 否、理解したくない。理解してしまえば、理解しようと思ってしまえば、きっと――― 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!」 訳も分からぬ言語にも成り切っていない母音の羅列を叫び上げる奇声を発しながら、カズマは眼前の女に向かって拳を振りぬこうと殴りかかった。 もはや圧倒的なまで充足感も、気に入らなかったはずの宿敵を圧倒していた時に感じていた満足感も何もありはしなかった。 そんなものを越えて、カズマが眼前の女に対して植え付けられたのは―――恐怖。 そう、前しか見ない。恐れるものなど何も無い。 ノゥとしか言わず、全てのモノに反逆を行うはずの反逆者である自分が抱くにはあまりにも相応しくない感情。 恐怖、そして精神的に押し負けてしまったという敗北感と屈辱。 ……そう、屈辱だ。 これをそのままにして置くわけにはいかない。 もう誰にも負けない、奪わせないだけの力を得たはずの自分が。 こんな女を相手にそんなものを抱き続けていい道理などあるはずが無い。 故に、砕く。打ち砕く。 この自慢の拳で、このあってはならない存在を、その肉体ごとすべて……打ち砕く。 それだけがやるべきことだと言う様に、咆哮と呼ぶにも無様な叫びを上げながら。 カズマはその拳を――― 「………どうして……止めるの………?」 眼前スレスレにまで迫った己の視界をほぼ全て覆っていると言っても良い黄金の拳。 直撃すれば、命を落とすことも避けられないであろうことは間違いない、本気のカズマの拳。 けれど、それでもギリギリ届いてはいないその拳。 いつかのような寸止めの再現を前にして、今度はあの時のように問いの言葉を投げかけたのはしかしあの時とは違う人物。 またしても自分の前で拳をピタリと止めたその男に対して、今度はなのはがその問いを投げかけていた。 「……何だよ……何なんだよ……テメエはッ!?」 しかしなのはの言葉に応える様子も見せずに、拳を寸止めしている当人たる男の方が、ただこの事実が信じられないと言ったように激しく苛立ちながら首を振る。 「テメエは何だ!? いったい何がやりてぇ!? どうしてこんなにしつこく、しぶとく、俺に付き纏ってくるんだよ!?」 苛立たしい、度し難いと掛け値なしの憤怒と憎悪を顕にしながら睨みつけ、怒鳴りつけてくる。 その姿は必死なほどに、虚勢を張った張子の虎のように頼りなく映り。 なのはの目から見れば、それはとても辛そうに、苦しそうに、そして何より悲しそうに見えた。 ……だから、放っておけない。このままには出来ない。 孤独と後悔と罪の深さに、その闇に彼を落とさせるわけにはいかなかった。 固く握られた眼前の拳。拒絶を示すソレへと彼女は優しく手を乗せる。 握った拳と握手は出来ない。 確かにそれは事実。故にこそ、こちらの手を握ってはもらえない。 ならばこそ、せめて優しく包み込む。慈しむように、もういいと教えてあげるように。 そして、彼女は告げる。 「……カズマ君……もう、良いんだよ」 名前を呼んで、重ねた手にも想いを乗せる。 自分にとっての精一杯、自分に出来る精一杯を。 その想いの全てを、言葉と重ねた掌へと乗せながら。 彼女は彼の―――カズマの名前を呼び続ける。 「……良くねえ……何も……ッ……何も良くなんてねえんだよッ!?」 しかしそれを否定するように、振り払うように、カズマは只管に憎悪の猛りを決して静めようとはしない。 荒々しく重ねてきたその手を振り払う。固めた握り拳は決して解かれることもない。 当たり前だ、何も良くなんて無い。良い筈も無い。 「君島は死んだんだ! テメエらに殺されたんだッ! 俺からアイツを……ダチを……ッ……それにかなみまで、全部、全部奪った分際で何が良いってんだ!?」 そうだ、君島もかなみもその全てを奪われ、帰るべき場所も、背負うべきものも、何もかも、何もかもを奪われてどうして、何が良いと言えるのだ? 言えない……言えるはずなどない。言わせてもいいはずが無い。 だからこそ、だからこその復讐。こちらから奪ったものがどれ程大事だったかを思い知らせ、報いを受けさせてやらずに収まりなどつくはずがない。 これはそういうものだ。そうでなければならない。 “シェルブリット”のカズマとして、君島邦彦の相棒として、カズマが選ばなければならないこと。 ―――アイツを置き去りにしてでも、アイツの“カズくん”でなくなってでもしなければならないこと。 そう自分は選んだ、選び取ったのだ。 今更に選ばなかった道を惜しんで、立ち止まってなどいられない。 「……だからもう……遅えんだよ……ッ!」 何もかもが、全て手遅れだ。 そう、もう何もかもが――― 「遅くなんて……ない……ッ!」 しかし怒鳴り散らすカズマのその言葉すら掻き消すほどの勢いを持って、それを上回るかのような気概を見せながらなのはが言葉を発する。 思わぬ彼女の勢いと迫力に、怒り狂っていたはずのカズマですら思わず気圧され、たじろぐ。 だがそんなものも気にした様子も無く、ただ只管にカズマから目を逸らさずに真っ直ぐとその視線を重ね合わせながらなのはは告げる。 「何も……まだ何も手遅れなんかじゃ……ないよ。やり直せる……やり直せないことなんて……絶対に……ッ……絶対に、ありはしないよ!」 そう、まだ手遅れでは無い。 やり直せないことなどない。 全てを失ったと、背負うものも何もかもを無くしたとカズマは言ったが、それは大きな間違いだ。 まだ残っている。カズマには大切なものが、背負っているものがちゃんとある。 護り続けられるものが、まだちゃんと残っている。 「かなみちゃんは……かなみちゃんは、まだ君の事を信じて、戻ってきて欲しいって願って……ちゃんと待ってるんだよ?」 そう、あの少女が由詑かなみが居続ける限り、彼の事を信じて戻る事を待ち続けている限り。 「……カズマ君……まだ君は―――ひとりじゃないんだよ」 そう、決して一人などでは無い。一人きりになどさせない。 傍に信じていてくれる人がいる限り、その人が帰りを待ち続けてくれる限り。 決して、その絆と想いは彼を孤独の底へと落しはしない。 もし落ちかけているというのなら、自分が救う。引っ張り上げて、救い上げる。 そして……彼女の元へと、送り届ける。 振り払われたその手を、再び優しく差し出しながら。 だから――― だから―――この手を取って、カズマ君。 偽善だ、欺瞞だ、そして茶番だ。 そんなことあるはずがない、そんなことあって良い筈が無い。 そんな道など、もう今更やはり選べるはずなど無い。 馬鹿だ、クズだ、愚かだ、道化だと、嗤い蔑まれようとも。 「……もう、止まれねえよ」 止まれない、止まらない。 止まり方だって分からない。 だったらこの選んだ先を進み続けることしか――― 「だったら―――私が止めるよ」 止めてあげる、止めてみせる。 そしてもう一度、道を選べる選択肢にまで戻してみせる。 絶対に、絶対に! だから――― 「少しだけ……痛いの、我慢してね」 「―――――ッ!? テメエッ!?」 『Restrict Lock.』 瞬間、なのはが持つ杖―――レイジングハートがそう言葉を発した直後にカズマの四肢を連環の束が次々と拘束し、その場へと彼を縛り付ける。 不意打ちにも等しかったこととも相まって、カズマがその事実に気付き苛立たしげに自らを縛る拘束を力づくで引き千切ろうとした直後には既になのはは上空にまで距離を取り、痛々しい片腕に必死に力を込めながらレイジングハートの切っ先をカズマへと向け終えていた。 レイジングハートを中心に、周りを囲むようにブラスタービットもまたその切っ先を寸ぷん違わず正確に、カズマへと向ける。 収束を始める強大な魔力の渦。 先のディバインバスターすら比では無いほどの、掛け値なしに限界を超えた多方向からの魔力の収束。 自らの体内で駆動するリンカーコアからだけでなく、周囲に満ちている微量な魔力要素すら根こそぎかき集めての尋常でない魔力量。 「……防御を抜いて……一撃で魔力ノックダウン。……いけるね、レイジングハート?」 『いけます。……しかし、これではマスターの方が………』 レイジングハートは気付いていた。 ただでさえ重傷と言って良い負傷を既に負い、ここまでに至るまでの激闘ですらリンカーコアを酷使し続けた。 もう……限界越えだなどと言ったそんなレベルですらない。 この一撃を放とうものなら彼女は――― 「―――大丈夫」 語尾を濁し、明滅を躊躇いの証として見せるレイジングハートに、しかしなのはは穏やかとすら言っていいような笑みを、レイジングハートの不安を払拭させる為に見せる。 「私は大丈夫……大丈夫じゃないのは分かってるけど……大丈夫」 大丈夫だから、そう優しく微笑もうとする彼女の表情と言葉。そこに込められた決意の深さを窺い知れないレイジングハートではない。 だからこそ覚悟を決めて、苦言の全てを押し込んで、無理矢理に押し黙るしかなかった。 きっとそうしなければ見っとも無く無様であろうとも彼女を止めようと喚き立てたはずだから。 けれどそれは出来ない。してはならない。何故ならそれが彼女の『願い』なのだから。 魔法少女の魔法の杖は、彼女の『願い』を叶える義務がある。 今更にそれを反故にはできない。それは彼女への忠誠を裏切るのも同じ。 ……だから、止めない。 元よりこの身は彼女と一心同体。ならば最後のその瞬間までただ共に駆け抜けるのみ。 故に――― 『…………All right, my master.』 ――今はただ、この言葉をもって彼女の決意を受け止めるのみ。 「やるよ、レイジングハート!」 『Yes,my master.』 眼下のカズマがレストリクトロックを今、力づくで引き千切った。 同時、なのはもまた最大限にまで溜めきったその一撃を解き放つ。 これが最後。正真正銘の全力全開、己の全てを込めた一撃。 「スタァァァァアアアアアアライトォォォオオオオオオ―――」 高町なのはが保有する自身にとっての最強の魔法。 十年前、親友との戦いとの決着に全てを賭けて解き放った己にとっての全ての思いの結晶。 「ブレイカァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 これが私の全てだ、となのはは解き放ったその一撃をカズマへと叩き込んだ。 今までの比ではないレベル。視界を焼くとかそんな規模すら軽く超越した多方から叩き込まれる桜色の極光。 文字通りの空を照らす星の輝きに匹敵する……否、星そのものを叩きつけられているかのような衝撃と圧力が全身へと叩き込まれる。 全身を覆う鎧と化したシェルブリットは本来ならば最強の防御も兼ねた無敵の強度を誇っていたはず。 にも関わらず、先のディバインバスターすら凌駕したはずのシェルブリットの全身に次々と亀裂が走っていく。 圧縮され叩き潰されんばかりの衝撃が、五体をバラバラに消し飛ばされかねない激痛が、次々と無敵であったはずのカズマにレッドアラームをかき鳴らさせる。 やばい、このままだと耐え切れない。 遂に膝を地に着けることになったカズマの脳裏に走ったのは、そんな誤魔化しようもない焦りだった。 これに耐え切れるのか……耐え切れなければ、それは終わり。敗北だ。 ………負ける、この俺が? 「ふざ……けん……なぁぁぁあああああああああああああああああああああッッ!」 己を焼き尽くさんばかりに叩き込まれている桜色の極光の中で、カズマは再び雄叫びを上げながら負けじと自らもまた眩いばかりの黄金の輝きを全身から発する。 外部から叩き込まれているこの圧力。全身を覆うこの敵の一撃を弾き飛ばし、否、消し去らんとせんために。 耐えろ、耐えろ、耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ――――ッ! ここで屈したらすべて終わりだ。負けたら何も残らない。自身の全てが奪われる。 背負った君島の生き様すら……汚される! そんなことには耐えられない、我慢ならない、認められない。 だから負けない。負けられない。 もう二度と、誰にも絶対に。 「……ましてや……ッ……テメエに、だけは……ッ……なぁぁあああああああああああ!!」 負けられない、この女にだけは負けられない。 なぁ、そうだろ? 君島―――――――ッ! 負けられない、彼にだけは絶対に負けられない。 今の彼にだけには、絶対に、絶対に負けられない。 スターライトブレイカーの多角面からの一撃を直撃しているにも関わらず、カズマは逆に弾き返さんと言わんばかりの黄金の輝きを全身から発しながらその場で耐え凌ごうとしている。 耐え切られ、凌ぎ切られれば、その時点でこちらは敗北。 それが承知の上だったからこそ、なのはは更にリンカーコアを本当に焼き切れんばかりにまで駆動させ、底の底から、文字通りに己の命を燃やし尽くして更に魔力を搾り出す。 当然、そんなことをして人間の体が耐えられるはずもない。 「―――ごふっ!?」 思わず口腔から血が溢れ出し喀血する。ただでさえ全身に負った重傷で身を引き裂かれんばかりの痛みを感じているというのに、それに加えて今度は内部から自分の体がバラバラにされるかのような激痛が全身の隅々にまで駆け抜ける。 ……痛い、本当に痛くて、苦しい。 泣き叫んでいいのなら、それこそ恥も外聞も気にせず、プライドすらかなぐり捨ててそうしたいとも思う。 (……でも……ッ……でも……きっと、私よりも……君の方が……ッ!) きっと、自分などよりもカズマの方がずっと痛くて苦しいはずだ。 彼の心はバラバラにされかねないほどに傷ついている。 それを護ってやれなくて、救ってやれなくて何の魔法か。 だから―――痛みに屈してる暇など自分には無い。 今すべき事は、思うべきことは、きっとそんなことではない。 彼を救うために、彼に伝えるべき言葉と思いを届ける為に今は――― 「ブレイクゥゥウウウウウウウウウウウウ―――」 込める、更なる量を。更なる密度で。 魔力を、想いを、願いを、己が伝えたい全てを込めて。 今度こそ……今度こそ、ここで彼を止める為に。 少女との約束を、その願いを叶える為に――― 「シューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーートッッ!!」 己の中の何かが焼き切れるのを感じ取りながら、しかしそれすらも覚悟の上で自分の中の想いの全てを上乗せして。 最後の一撃を押し切る為に彼女はこの一撃に己の全てを注ぎ込んだ。 共鳴現象。 それは強い力、意志を持つ者同士がぶつかり合い『向こう側』に触れることによって起こる現象のことである。 今回のロストグランドで起こったかつての大隆起現象を再現しかねないレベルでの再隆起現象。 これはカズマと劉鳳、二人の強い力と意志があの空間の中でぶつかり合い、共鳴を果たしたからこそ起きた結果でもある。 そう、この地は確かに再び『向こう側』へと繋がった。 今この場所、再隆起が起きた直後たるこの地域は未だ完全には閉じ切っていない『向こう側』の残滓が漏れ出ているいわば入り口に近い場所。 本来ならば現時点では最終進化に至るにはまだほど遠い過程にいるはずであったカズマが急速な進化を果たしたのも、彼がこの地にいたこととまたこの地の『向こう側』への開いた入り口が完全には閉じ切っていなかったことが最大の要因ともなっただろう。 そう、この地はこの瞬間において言えば『向こう側』へと今最も近い場所でもある。 故に『向こう側』を貯蔵庫とするアルター能力の活性化も激しく、そして引き出される力もより大きなものとなる。 尤も、現時点ではカズマの本来ならばまだありえないはずの最終進化は一時的なものに過ぎず、完全に全てを引き出しきるにも未だ遠かった。 故に引き出せたのは本人自身が思っているよりも底には遠い、精々半分を少し超えるくらいを引き出せたかどうかと言った程度だ。 無論、それでも人間が如何こう抗うには度の過ぎた力であるのは事実だが。 そしてカズマが無理矢理に再び閉じかけた直後に『向こう側』の扉を開けようなどとしたものだから当然この場に再び負荷が掛かったのは道理。 加え、不安定にも近いこの場にまったくベクトルの異なる魔法などという異物にも等しい力が凡そ最大規模でいきなり注ぎ込まれればいったいどうなるか? 結論から言えば……とんでもないことになった。 そう、空間が不安定で歪みかけている場所で最上級のエネルギー同士のぶつかり合い。 辺りを覆うほどの大規模な爆発が発生したとしても、それは無理からぬことだった。 暗雲を切り裂くように新生した閃光。 その光と爆発が中心点にいる両者を包んでいき――― 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 前へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3316.html 次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3318.html
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/136.html
サンダーブレイド ロックオン式の複数攻撃魔法。圧縮魔力刃の生成射出、命中後に放電を伴って爆破することで、対象を破壊する。 バインド等の副効果を持たないかわり、物理・魔力ともに破壊力が高く設定されている。 パンツァーガイスト シグナムが身に纏う防御魔法。攻撃をしながら全身を覆うことはできないため、防御箇所を集中し、フェイトの攻撃を弾いている。 ディフェンサ―プラス フェイトの防御魔法。受け止めるよりは反らすための防御魔法で、命中個所に一点集中することで、防御効果を高めている。 シュランゲバイセン・アングリフ レヴァンティンの連結刃形態、シュランゲフォルムから繰り出す空間攻撃。 長く伸びる刃を自在に舞わせ、対象の機動を阻害。動きを封じた相手に剣尖での一撃を打ち込む。 有線連結された刃はシグナムの魔力を完全な形で伝えるため、舞い踊る連結刃は高い運動エネルギーと強力なバリア破壊能力を併せ持つ。 反面、発動中の移動不能、刀身での防御が困難になるなどのリスクも負う。 ハーケンセイバー ハーケンフォームの刃に、高速回転を与えて打ち出す魔力刃攻撃。 高い切断力を誇る他、自動誘導の性能を持ち、発射後は自動的にロックした対象へ向かって飛翔する。 ブリッツラッシュ 加速魔法。高速機動に優れるフェイトの飛翔をさらに加速する効果がある。 ハーケンスラッシュ ハーケンフォームの刃を瞬間的に強化する魔法。その刃は鋼鉄すらたやすく断ち切る。 鞘 レヴァンティンの一部である鞘は、刀身と同様の強度を持ち、シグナムの魔力を完全な形で通すことができる。 防御魔法であるパンツァーガイストを纏わせることで、魔力刃攻撃を受け止め、弾くことも可能となっている。 また刀身を収めることで刀身に魔力を圧縮する圧縮機としての効果も持つ。 飛竜一閃 シュランゲフォルムから繰り出す魔力斬撃。鞘に収めて圧縮した魔力を、連結刃の刀身に纏わせて放つ。 シグナムの魔力資質とレヴァンティンの機能によって、炎とともに放たれる巨大な魔力を伴う長大な斬撃は、もはや「砲」と言っても差し支えのないサイズと射程を誇る。 純粋魔力と鋭い連結刃の同時到達は、受ける対象に防御を許さない貫通力を持つ。 プラズマスマッシャー フェイトの砲撃魔法。電光を伴う純粋魔力攻撃。中近距離での高速戦に特化するため、最大射程を犠牲に、威力と発射速度を高めた設定になっている。 発射に環状魔法陣の加速・増幅リングを複数使用しており、攻撃のオールラウンダーであるフェイトの制御スキルの高さがうかがえる。 アイゼンゲホイル 閃光と音による、瞬間的なスタン効果を目的とした空間攻撃。範囲内の対象の視覚・聴覚を一時的に奪う効果がある他、レーダージャミングの効果もある。 生成した衝撃弾をハンマーヘッドで叩くことで発生し、直接的な攻撃力は存在しない。 ディバインバスター・エクステンション レイジングハートエクセリオンの新モード、バスターモードから放つ砲撃魔法。 エクステンション(伸長)の名の通り、最大射程の延長が最大の特徴であり、通常の戦闘距離を超えたアウトレンジ狙撃をも可能としている。 アウトレンジを一瞬で踏破する驚異的な弾速、超長距離飛翔を行っても減衰することのない精度と威力、元来のディバインバスターが持つ強靭なバリア貫通能力。 すべてが高いレベルでまとめられた、なのはの「砲撃魔導師」としての本領発揮ともいえる魔法である。 ロングレンジバインド 長距離での拘束魔法。中距離で使用するバインド魔法を遠距離で、かつ高速に発動するのには、極めて高い技術を要する。 バインドブレイク 自らにかけられたバインドを破壊する魔法。方式解析を行って結合を解きながら、魔力を込めて破壊する方式が一般的である。 次元転送 別の次元へ移動する転送魔法。ベルカの一般的な魔法ではなく、守護騎士システムに実装された特殊魔法のようである。 リンカーコア摘出 魔法の方式は不明だが、肉体を傷つけず、魔力外皮を破ってリンカーコアのみを摘出していることから、 シャマルの使う「旅の鏡」と類似する、転移・転送魔法の応用による魔法のようである。